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最強の商品登場!? 日産セレナe-POWER

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

人気のミニバンに、新発想の電動モデルが追加

 日産の人気ミニバンであるセレナは、2016年8月に登場してから好調な販売台数を達成しており、2017年1月には登録車台数ランキングで同じ日産の小型車ノートに次ぐ2位となり、実に32年ぶりに日産車が登録車台数ランキングで1−2位を取るというニュースにもなった。また2017年の上半期には国産3列シートミニバンで1位に輝くなど、好調な販売としていた。

 そんなセレナに新たに加わったのが、e-POWERというモデル。これは先に日産として実に久々となる登録車台数ランキング1位に輝いた小型車ノートに既に設定されているモデルで、ここ最近のノート躍進の理由となったモデルでもある。

 e-POWERとは、1.2Lの3気筒ガソリン・エンジンを搭載するものの、エンジンそのものはタイヤを駆動することはなく発電だけに使われ、実際の走行は日産の電気自動車リーフ譲りのモーターによって行われる。つまり、ガソリンを入れてモーターで走るという、新たな発想の電動車両である。

 小型車ノートのe-POWERは、衝撃的な走りを手に入れていた。リーフ譲りのモーターによって、ガソリン・エンジンでは実現できない静かで力強く滑らかな走りが実現されていたからだ。これによってノートは1クラス上の走りを感じさせるモデルとなり魅力を増し、さらに新しさも手伝って、その後のノートの販売に大きく貢献したというわけだ。

 そんなe-POWERが、そもそも人気ミニバンであるセレナに加わったのだから、商品性が極めて高い1台が登場した、といえる。日産セレナは登場時から好調な販売を記録するが、その一端を担っているのがプロパイロットと呼ばれる運転支援システムを日産車として初めて搭載したこと。高速道路等では前走車に追従してアクセル、ブレーキ、ハンドルを操作してくれる部分自動運転を実現したことは世の中的にも大きなインパクトを与えた。

 そしてもともとの商品性の高さが功を奏して、Mクラスミニバンでナンバー1の登録台数を実現したわけだが、ここにe-POWERという新発想が加わったことで、セレナの価値はさらに高まったわけだ。

ノートe-POWERと同じシステムを搭載

 日産セレナe-POWERに搭載されるシステムはノートと同じもの。1.2L3気筒ガソリン・エンジンとリーフ譲りのモーターだ。小型車ノートと異なり、ミニバンのセレナだからこのシステムで大丈夫か? というのが誰もが感じる不安だろう。しかし実際に走らせてみると、そうした不安を完全に払拭する走りが実現されていたのだった。

 セレナe-POWERもやはり、静かで滑らかで力強い、が極まっており、このクルマの格を1クラス上に押し上げるほどの効果を持っていた。詳しい走りは動画を参照にしていただくとして、実に説得力ある走りが実現されていたわけだ。

 しかもe-POWERで電動駆動となったことで、プロパイロットの作動はこれまでのガソリン・エンジン搭載のセレナよりも優れたものになる。モーターによる反応の良さはエンジンを凌ぐわけで、これが前走車の追従等でスムーズさ等につながるわけだ。

 そしてノートe-POWERでも実現されて話題を呼んだ1ペダルドライビングを可能とする「e-POWER Drive」によって、アクセルとブレーキの踏み変えが要らない極めて新鮮な運転体験も実現されたのである。この辺りの印象も併せて動画で確認していただければ幸いだ。

最強の商品、果たして販売は?

 こんな具合で日産セレナe-POWERは、「もともとの人気ミニバン」+「これまでと異なる走りをもたらすe-POWER」+「以前からもっているプロパイロット」=いまクルマを購入する時に気になるものが全部入った1台ということになるわけだ。ならばこれはまさに最強の商品、誰もが売れるだろう、と予測できる1台でもある。

 ただしその分、価格も高まっており、車両価格が340万円程度でプロパイロットがオプションで20万円となるため、その他含めて諸費用込みで400万円前後の価格となる。

 果たして日産セレナe-POWERは市場において、どのような販売で推移していくのか? この辺りが非常に興味深い商品でもある。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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