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グリエルはポストシーズンの39打席で三振なし。これは好調の証なのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ユリ・グリエル(ヒューストン・アストロズ)Oct 20, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ユリ・グリエル(ヒューストン・アストロズ)が最後に三振を喫したのは、先月5日、レギュラーシーズンの最終打席だ。ポストシーズンに入ってからは、39打席に立ち、一度も三振をしていない。

 イライアス・スポーツ・ビューローによると、その年のポストシーズンの最初から39打席続けて三振なしは、史上9番目の長さだという。最後まで三振せずにポストシーズンを終えても、次のポストシーズンは含めていないので、ポストシーズンのシーズン記録といったところだ。

 ここまでのポストシーズンで、グリエルは、打率.342(38打数13安打)と2本塁打を記録している。

 もっとも、三振がないのは打撃好調の証、ということにはならない。

 三振なしのストリークが、現時点のグリエルよりも長い8人のなかには、2019年のグリエルがいる。こちらは、48打席連続。史上3番目の長さだ。1995年に51打席連続のジョーイ・コーラと2006年に50打席連続のデビッド・エクスタインに次ぎ、1979年のティム・フォーリーと並ぶ。

 3年前のポストシーズンで、グリエルは、打率.250(72打数18安打)と2本塁打だった。最初に三振を喫するまでの48打席も、打率.244(45打数11安打)と1本塁打だ。

 グリエルの三振なしは、好不調ではなく、どんなタイプの打者なのかを表わしているのではないだろうか。グリエルは、早打ちのフリー・スウィンガーだ。2016~22年の8シーズン中、四球率が6.5%を超えたのは、9.8%の昨シーズンしかない。その一方で、三振率は、今シーズンの12.5%が最も高い。あとの7シーズンは、いずれも12%未満だ。ちなみに、今シーズンのア・リーグ平均は、四球率が8.0%、三振率は22.2%だった。

 なお、3年前のポストシーズンは、打率こそ低かったものの、18試合で13打点を挙げた。これは、ワールドシリーズでアストロズを破ったワシントン・ナショナルズの2人、アンソニー・レンドーン(現ロサンゼルス・エンジェルス)の15打点とホアン・ソト(現サンディエゴ・パドレス)の14打点に次いで多かった。今年のポストシーズンは、ここまで9試合で3打点ながら、2打点目と3打点目は、どちらも同点の場面で挙げている。

 アストロズの監督を務めているダスティ・ベイカーも、1981年のポストシーズンで、最初の打席から46打席続けて三振がなかった。このポストシーズンのベイカーは、打率.213(61打数13安打)でホームランは0本。16試合に出場して5打点ながら、2試合で先制点を挙げ、その2試合目は1試合3打点を記録した。ベイカーは、監督としてのワールドシリーズ優勝はまだないが、選手としては、この年に優勝を経験している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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