FB五郎丸、「15」番を背負い仏リーグ初先発! 「日本代表に負けないようにフランスで結果を残したい」
やはり、五郎丸歩には「15」番のジャージーがよく似合う。
11月5日に、アウェーのリヨン戦でフランス1部リーグ「TOP14」デビューを果たしていたRCトゥーロンの元日本代表FB五郎丸。13日(日本時間14日早朝)、ホームのスタッド・マヨルで行われたスタッド・フランセ戦で初めて先発のジャージーに袖を通して、80分間出場し、31-12の勝利に貢献した。
トライの起点となる力強いランも見せた!
前半14分にはキック処理の際に、相手に危険なタックルを受けて肩から落ちて心配されたが、すぐにゲームに戻り、持ち前の力強いランとキックを披露し、特に前半24分にはトライの起点にもなるランを見せた。
「初めてトゥーロンのファンの目の前で80分間プレーできて、チームメイトに感謝しています。プレー自体には良し悪しはありますが、15番をつけて80分プレーできたことを嬉しく思います。日曜日の夜9時から試合でしたが、これだけ多くのファンが来てくださったことには、トゥーロンの街にラグビーが根付いている。うらやましく思います」(五郎丸)
また五郎丸はFBとしてハイボールの処理をしつつ、時折、ロングキックで自チームのFWを前に出した。「(キックを蹴ったことはチームの)戦術ではないです。状況判断で裏に蹴る機会が多かった。判断自体はそんなに間違えてなかったと思いますが、まだまだ精度は上げられると思います。次のシーンにつなげたい」と自らを分析した。
指揮官も変わり、ライバルも負傷しチャンスが回ってきた
それではFB五郎丸になぜチャンスが回ってきたのか――。FB五郎丸は、5月、当時、所属していたオーストラリアのレッズ(スーパーラグビー)の試合で右肩を負傷し、手術をしてリハビリを行っていた。そして9月末には全体練習に復帰し、試合出場の機会をうかがっていた。
そんな状況の中、ライバルのウェールズ代表FBリー・ハーブペニーはテストマッチ月間でウェールズ代表に招集され、オーストラリア出身のマット・カラーロは負傷。先週、敗戦した試合では元オーストラリア代表のジェームズ・オコナーもFBとしてはあまりいいプレーをすることができなかった。
またシーズン途中でヘッドコーチがアルゼンチン人のディエゴ・ドミンゲスから、BKコーチを務めていたイギリス人のマイク・フォード氏に変わっていた影響もあり、FB五郎丸は見事にチャンスをつかんだと言えよう。
また両翼がオーストラリア代表経験のあるオコナーとドリュー・ミッチェル、CTBには元ニュージーランド代表のマーア・ノヌーと、フランス語ではなく英語でコミュニケーションが取れる選手がBKに多かったことも心強かったことだろう。「コンタクトは非常に激しかったですが、チームメイトがサポートしてくれたので、非常にやりやすかったです」(FB五郎丸)
フランスのラグビーの印象を聞かれて「コンタクトプレーが多いこととセットプレーを重視していること。それはフランスの強みですし、昔ながらの男らしいラグビーをしています」とFB五郎丸が言うように、プレー時間が増えて行けば、彼の特徴である体格を活かしたランとキックはもっとチームにフィットしていくはずだ。
◇日本代表に負けないようにフランスで結果を残したい
トゥーロンは現在リーグ3位(11月13日時点)で、チームは欧州NO1を決めるカップ戦である「ヨーロピアン・チャンピオンズ・カップ」も参戦中である。12月になればウェールズ代表FBハーフペニーがチームに戻ってくるが、彼は2月~3月にかけて行われる欧州伝統の「シックスネーションズ」でもウェールズ代表に招集されることは確実であり、今後、ヘッドコーチやチームメイト、ファンの信頼をさらに獲得していけばFB五郎丸の出番は増えていきそうだ。
また、FB五郎丸がチームに馴染んでくれば、現在はSOピエール・ベルナールに譲っているプレースキックも蹴るチャンスが回ってくはずだ。
最後に、欧州遠征中の日本代表が11日にジョージア代表に勝利した試合の感想を問われ、FB五郎丸は「ワールドカップをいっしょに戦ったメンバーを多く出ていますし、新生ジャパンということで、僕も日本のファンも注目した一戦だったと思います。タイトな試合でしたがアウェーで勝ちを得たことは大きかった。彼らに負けないようにフランスで結果を残したい。日本代表は、次は(19日に)ウェールズ代表と試合があるので、(トゥーロンでチームメイトのFB)ハーフペニーを応援しながらもしっかり応援したい」とエールを送った。
6月、ケガをしたまま臨んだ入団会見の時には緊張もあり、時折、不安そうな表情を見せていたが、初先発の試合後は一変。やり切った男の表情には自信が垣間見えた。
FB五郎丸、フランスリーグ初先発。80分間、「15」番を背負ってプレーした