クリスマス寒波のあとの年末寒波より強い年始寒波、特に北日本では
クリスマス寒波
令和4年(2022年)は、12月になると、11月までは時折観測していた最高気温が25度以上の夏日がほとんどなくなり、最低気温が0度未満の冬日が増えています。
そして、断続的に西高東低の冬型の気圧配置が強まり、そのたびに冬日を観測した地点数が増え、12月15日以降は、最高気温が氷点下という真冬日も増えています。
気象庁では全国915地点で気温を観測していますが、12月19日には冬日を観測した地点が728地点(約80パーセント)、真冬日を観測した地点が297地点(約32パーセント)にも達しています(図1)。
その後、北日本を通過した低気圧によって、南から暖気が入ったため、真冬日が激減し、冬日も減っています。
12月23日頃から25日頃に南下してきたクリスマス寒波は、12月としては非常に強いものでしたが、少し暖気が入った地方もあり、全国的にみると、冬日は増えましたが、真冬日は増えていません。
能登半島先端の石川県輪島市では、高層気象観測を昭和32年(1957年)12月以降に継続して行っていますが、気圧が地上付近の気圧の約半分の500ヘクトパスカルとなる高さが12月23日9時に5108メートル(気温は氷点下39.7度)という12月の最低記録を観測しています。
この高さが低いということは、上空では記録的な低気圧が通過していることに相当しており、これが昭和35年(1960年)12月30日の9時と21時にともに観測した5113メートルを更新したのです。
真冬は、平成17年(2005年)2月1日9時の5050メートルを観測するなど、もう少し低い値になりますが、日本海がまだ冷え切っていない初冬で、このようなことが起きると、大気が不安定となって激しい現象がおきます。
しかも、日本海西部を中心に寒気が南下し、多くは北西の季節風が吹く日本海から北陸地方も西よりの風が吹いています。
このため、活発な雪雲が日本海でほぼ東西方向に寝た形となり、普段は雪が少ない日本海沿岸の都市部でも大雪が降っています(タイトル画像参照)。
また、西日本各地で雪を観測し、雪がほとんど降らない高知市でも14センチの積雪という明治45年(1912年)の観測開始以来1位の記録を作っています。
これまで、気象庁が初雪を観測した49地点では、平年より早かったのが9地点、平年同日が3地点、遅いのが37地点ですので、初雪から見た今冬は、冬の訪れが遅かったということになります(表)。
ただ、九州は、鹿児島や福岡、宮崎で平年より早い初雪で、大分、長崎、熊本で平年より遅かったことを考えると、九州はほぼ平年並みの冬の訪れといえるかもしれません。
年末寒波
クリスマス寒波のあとは、西日本から等圧線の間隔が広くなりますが、西高東低の冬型の気圧配置が続くことに変わりがなく、年末らしい寒さが続く見込みです(図2)。
そして12月29日から大みそかにかけ、日本上空に次の一段と強い寒気が流入し、再び西高東低に冬型の気圧配置が強まって全国的に強い季節風が吹く見込みです。
クリスマス寒波に次いで年末寒波の襲来です。
北海道上空約5500メートルには、大雪が降る目安となる氷点下36度という寒気が入りますので、北日本を中心に暴風と雪に対する警戒が必要な年末です(図3)。
ただ、年明けに南下してくる寒気は、北海道上空約5500メートルで氷点下42度と、年末寒波より強いものが南下してきます。
北日本は年末寒波以上に年始寒波に警戒をする必要があります。
この時、日本海西部から東北南部の氷点下24度線は、年末寒波と年始寒波では、ほぼ同じ位置にありますので、年始寒波は北日本中心のようです。
年末年始の天気予報
各地の10日間予報をみると、北海道と東北~東日本の日本海側地方は概ね雪、東北太平洋側~西日本では概ね晴れ、南西諸島は曇りの日が続くとなっています(図4)。
冬に多い、日本の天気が3分割される状況ですが、最高気温は年末より年始の方が一段と冷え込む見込みです。
正月を挟んで年末と年始、どちらも多くの人が移動するときに特に強い寒気が南下してきますので、気象情報に注意し、余裕をもった計画でお正月をお過ごしください。
タイトル画像、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。
図1、表の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図2の出典:気象庁ホームページ。