記録的に暖かかった令和6年、年末年始の寒波が一服で雨の仕事始め ただ太平洋側の乾燥状態は回復せず
記録的な暑さの令和6年(2024年)
令和6年(2024年)は全国的に気温の高い状態が続き、年平均気温偏差は、平成3年(1991年)から令和2年(2020年)までの30年間を基準とすると、速報値で1.64度も高くなりました。
統計を開始した明治31年(1898年)以降、これまで最も高い値だった一昨年、令和5年(2023年)の1.29度を大きく上回りました(図1)。
特に東・西日本と沖縄・奄美で記録的な高温となり、全国153の気象台等のうち、夏は80地点(21地点のタイ記録含む)、秋は120地点(4地点のタイ記録含む)で、各季節の平均気温が歴代1位の高温となりました。
また、世界の年平均気温も、これまで最も高い値だった一昨年、令和5年(2023年)の0.54度を上回る見込みです。
12月後半になると西高東低の冬型の気圧配置となって寒気が南下する日が多くなっていますが、さらに上回る暑さの年となりました。
年末年始の寒波
12月28日も西高東低の冬型の気圧配置となり、西日本から北日本の日本海側では雪や雨が降り、雷を伴って大雪となった所もありました(図2)。
ただ、正月明けとともに、西高東低の冬型の気圧配置は西日本から弱まり、寒気の南下は小休止しています。
そして、仕事始めの1月6日は、日本海と西日本の南海上に前線を伴った低気圧が通過する見込みです(図3)。
冬の南岸低気圧というと、太平洋側の大雪を心配することが多いのですが、今回は、北海道を別の低気圧が通過する見込みですので、この低気圧までしか寒気が南下しませんので、標高の高い所を除き、東北地方まで雨として降る見込みです(図4)。
南岸低気圧は、あまり発達することなく東進する見込みですが、日本海の低気圧は、北日本の東海上で発達し、西高東低の冬型の気圧配置となる見込みです。
等圧線の間隔を見ると、西日本で混んでいますので、寒気は西日本を中心に南下してきますので、西日本中心に寒気南下に備える必要があります。
全国で、最高気温が25度以上の夏日は、10月まではかなり観測していたのですが、12月にはいると、時折沖縄で観測するくらいとなり、逆に、最低気温が0度に届かない冬日や、最高気温が0度に届かない真冬日を観測する日が増えています(図5)。
1月5日に冬日を観測したのは695地点(全国で気温を観測している914地点の約76パーセント)と今冬最多でした。また、真冬日は163地点(約18パーセント)でしたが、前日、4日は234地点(約26パーセント)と今冬最多でした。
ただ、1月6日は、冬日、真冬日共に観測地点数は、大きく減る見込みです。
太平洋側の乾燥状態継続
各地の10日先までの天気予報をみると、1月6日の雨を除くと日本海側の地方は雪、太平洋側の地方は晴れが続く予報となっています(図6)。
東・西日本の太平洋側の地方では、12月より湿度が低い日が続き、火事が発生しやすくなっていますが、この乾燥状態は1月6日の雨では解消しない見込みです。
日本海側の大雪、太平洋側の乾燥と、ともに注意が必要な正月明けの天気です。
東京都杉並区高円寺には、日本で唯一の気象神社があり、今年の初詣も多くの人で賑わっていました(タイトル画像)。
祭神は、八意思兼命(ヤゴロモオモイカネノミコト)で、天照大神一家を助ける知恵の神、思慮分別の神様です。天の岩戸隠れや天孫降臨の時に、神々の諮問に応えて解決策を出した神様でもあります。
角度を変え立場を異にして思い(八意)、種々の結果を比較して総合して分別する(思兼)ということは、気象現象を解明するうえでの基本と同じであることから、この神様が選ばれたのだと思います。
毎年の例大祭(6月1日)には、観測がうまくゆき、予報がみな適中するようにとの祝詞があげられますが、今年は、極端な天気が続かないように、五風十雨(5日目ごとに風が吹き10日目ごとに雨が降るというように農作には都合がよい天気)でありますように。
図1、図3の出典:気象庁ホームページ。
図2、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。
図5の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。