なぜ、人生の質を変えるのに「気合い」が必要なのか?
■ 気合いとは何か?
「気合い」は古い――?
冗談じゃない。何をするにしても、「気合い」ほど手軽に使える武器は他にないと言えます。
今回は、「気合い」について、少し触れます。気合いは、いわゆる「気合いと根性」と言い、根性という表現と対(つい)で使用されることが多い言葉です。しかし、両者の意味はかなり違う。
「島国根性」とか「野次馬根性」と言うように、根性は、その人の気質・性質を表しています。漢字からもわかるように、根っことなる性分のようなもの。
いっぽう、気合いは、精神を集中させて気持ちに勢いづけること。根性とは、ずいぶんと異なる意味合いを持っています。重い腰を「えいや」と上げるときに使う勢いと同じ。
惰性でしつづけている何らかの行動を中止するとき、方向転換するとき。反対に、何かを新しくスタートしようとするとき、こういったときに頼る「気持ちの勢い」と言えばわかりやすいでしょう。
■ 気合いほど便利な道具はない
気合いは、誰もができる、とても便利な道具です。
「なかなか読書ができない」と嘆く人がいますが、これも気合い。「ダイエット中なのに、ついつい甘いものを食べてしまう」と悩んでいる人も、気合いで解決できます。
目の前の仕事にのめり込めない、という人も気合いが足りないのです。仕事に情熱を傾けるには、気合いでは不十分ですが、1時間でいいから集中して勉強したり、30分でいいので深く考えたり、専門家に連絡を入れて質問したりするのは、気合いがあればできます。
情熱はもちろんのこと、モチベーションさえ、なくたってできます。
ただ、気合いで自分を動かすことを稚拙だと受け止める人がいることも事実。ですから、
「気合いでやれと言われても……」
と多くの人が口にしますが、それは勘違いです。何をやるのに、どんな武器が必要かということを、まず知るべきです。
たとえば割り箸を折るのには、だいたい手を使えば間に合います。木の枝を切るのには、ノコギリを使えばいい。丸太を切るのにはチェーンソーが必要でしょう。
つまり気合いだけで、いったい何ができるのか。それを整理しておけば、いいのです。成果を出すことは難しい。けれども、何か特殊な障がいがない限り、気合いだけで「初動」で悩むことからは解決します。
情熱は、炭に火がついているような状態と考えると、気合いは、紙や新聞紙に火がついているような状態のことです。引火しやすいですが、消えるのもはやい。その特性を利用するのです。
■ 小さなきっかけ作り
持続性が必要ならモチベーションが必要。深さを求めるなら、情熱があったほうがいい。しかし情熱もモチベーションもなく、気合いしかなくても、意外といろいろなことができます。とくに、小さなきっかけ作りには、最強の武器となります。
部屋の整理整頓をしなくちゃいけないのに、やる気が出ないときってありますよね。その際、5分間だけ、整理整頓しようと決めるのです。どんなに気持ちが乗らなくても、5分ぐらいの整理整頓なら気合いでできます。
5分間の整理整頓でやめたくなったら、やめればいいですが、整理整頓をしているうちに、「身の回りがきれいになると、気持ちがいいな」と思えて、やる気がアップすることもあります。そうしたら、20分でも30分でも、整理整頓に励めばいい。
ついつい先送りしてしまう業務もそうです。やらされ感を覚える仕事も同じ。どんなにモチベーションが上がらなくても、2~3分なら気合いでできます。
意欲的になるきっかけを、気合いという武器がもたらしてくれるのです。そう考えたら、
「気合いでやれと言われても……」
とグダグダ考える必要がなくなります。
気合いで小さなきっかけを次々に作っていく。そうすることで、私は人生の質をも変えると思っています。ちょっとしたことでも、「えいや」と自分の気持ちに勢いをつける。このことを、忘れてはなりません。
モチベーションを上げたかったら、上げるきっかけを気合いで作ることができるし、それがいずれ情熱の火を燃やすきっかけになるのかもしれないのです。