涙が止まらない! 徳島県に伝わる切ない民話「阿波狸合戦」を紹介
本列島の南西部に位置する四国には、ほかの地方と比べ、たぬき関する民話や伝説が数多く存在します。
なかでも有名なのが、阿波(現在の徳島県)で勃発した「阿波狸合戦(金長狸合戦)」です。
金長たぬきの民話
江戸時代、日開野に金長というタヌキが住んでいました。ある日、村の子供にいじめられていた金長を、通りかかった染物屋「大和屋」の主人・茂右衛門が助け出します。金長は茂右衛門に恩を返すため、大和屋の守り神として店を繁盛させました。
その後、四国狸総大将津田浦の六右衛門のもとへ修業にでた金長は、「化学(人に化ける術)」に励みます。次第に開花してゆく金長の才能に、六右衛門は娘・小芝姫の婿養子にしたいと望むように。しかし金長は、茂右衛門への恩義から六右衛門の申し出を断ります。これを主人への逆心と思い込んだ六右衛門は、金長とその部下を襲撃!
かろうじてひとり日開野へ逃げ戻った金長は兵をあげることに。金長と六右衛門の戦「阿波狸合戦」が勃発したのです。激闘の末、六右衛門は討死。金長も深手を負い、主人である茂右衛門に最後の別れを告げようと大和屋に来ていました。金長は茂右衛門に優しくしてもらった礼を言い終え、静かに息を引き取ったのだとか。金長の生き様に感激した茂右衛門は、金長のことを「正一位金長大明神」として長く讃えたのだといわれています。
タヌキと人の深い友情を描いた、とても切ない物語…。
金長と茂右衛門が幸せになる選択はなかったのかと、つい考えてしまいます。
徳島県小松島市小松島町にある「小松島ステーションパーク」内の「たぬき広場」には、阿波狸合戦に登場するたぬき・金長の巨大な像「金長たぬき像」が設置され、今もなお、伝説が語り継がれています。
周辺には、徳島の名産品「フィッシュカツ」を販売する津久司蒲鉾有限会社があるほか、平安時代の武将・源義経が白旗を立てたと言われる伝説の地には騎馬に跨る巨大な義経像も設置されています。
ぜひ、観光してみてください。
■小松島ステーションパーク たぬき広場
【住所】徳島県小松島市小松島町字網渕1-13外