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これはサプライズ!? 昨年は「全休」の左腕が、開幕投手に指名される

宇根夏樹ベースボール・ライター
エデュアルド・ロドリゲス(ボストン・レッドソックス)Mar 6, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ボストン・レッドソックスの開幕投手が、エデュアルド・ロドリゲスに決まった。

 昨年の7月上旬に、ロドリゲスは新型コロナウイルスに感染していることが判明した。その後、自宅療養を経て陰性となり、開幕に間に合うかと思われたが、新型コロナウイルスの後遺症と見られる心筋症にかかり、8月上旬にシーズン全休を決めた。

 前年にまったく登板しなかった投手が開幕戦の先発マウンドに上がるのは、異例のことだ。レッドソックスでは、見落としがなければ、1946年のテックス・ヒューソン以来、75年ぶりとなる。ヒューソンの場合、1945年の全休は兵役が理由だった。ちなみに、2004年に中日ドラゴンズで開幕投手を務めた川崎憲次郎は、その前の3シーズンとも一軍で投げていなかったが、二軍の登板はあった。

 現在のレッドソックスには、過去3年の開幕投手がいずれも在籍している。2018~19年の開幕戦に登板したクリス・セールは、昨年3月にトミー・ジョン手術を受け、復帰は最短でも5月以降になる見込みだ。だが、昨年の開幕投手――この登板で「投手が登板中に背番号を変更!?」の椿事も起こした――ネイサン・イオバルディは、今シーズンも開幕からローテーションの一角を担う。3月14日の登板は4イニングを投げて4失点ながら、64球中、100マイル以上が10球もあった。

 ただ、ロドリゲスの開幕投手は、サプライズではない。2年前、ロドリゲスはその資質を開花させた。初めて規定投球回に達しただけでなく、リーグ6位の203.1イニングを投げ、8位の奪三振率9.43と9位の防御率3.81を記録。3位の19勝(6敗)も挙げた。

 昨春の時点では、開幕戦の登板が予定されていた。それが、新型コロナウイルスにより、1年遅れたというわけだ。

 初の開幕投手に向け、ここまでは順調に歩んでいる。エキシビション・ゲームの3登板は、いずれも1失点(自責点も1ずつ)。計11.2イニングで防御率2.31。奪三振は14を数え、与四球は一つもない。

 4月1日の開幕戦で投げる相手は、ボルティモア・オリオールズだ。2019年の4登板は、計28.0イニングで防御率1.93を記録し、自身は3勝を挙げ、レッドソックスは4試合とも勝利を収めている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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