H3打ち上げ予定、月極域探査計画「LUPEX」ISS補給機「HTV-X」火星衛星探査計画「MMX」
11月4日、H3ロケット4号機の打ち上げが成功しました。順調に打ち上げを重ねているH3ロケットですが、来年度からもH3の打ち上げは目白押しとなっています。
本記事では、その中でも注目の探査ミッションである、月極域探査計画「LUPEX」、新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」、火星衛星探査計画「MMX」をご紹介していきます。
■2025年度以降:月極域探査計画「LUPEX」
LUPEXはJAXAで開発が進められている月面探査車であり、月面の氷資源探査を目的としており、日本とインドが国際協力により立ち上げたミッションです。
このプロジェクトでは各フェーズごとに担当する宇宙機関が分かれています。まず地球から出発するときは日本のH3ロケットで打ち上げます。その中にはインドが開発する月着陸機が搭載されています。そして着陸機が月の南極付近のクレータへ着陸に挑戦します。そして、着陸機の中からJAXAが開発した月面探査車が出てきて、氷を探索するというプロジェクトです。
LUPEXは月の南極に着陸した後、月面を掘って氷を探すことを目的としています。そこで、LUPEXでは月の南極にあるシャクルトンクレータを目標地点にしています。 LUPEXは月面を走行しながら地下2メートルまでの観測により、氷の存在可能性が高い部分を調査します。そして、氷の存在可能性が高い地点でドリルのような機器で表面を掘り、サンプルの分析を行う予定です。
■2025年度以降:新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」
HTV-XはHTVに続く補給機として、ISSへの物資補給だけでなく、軌道上技術実証や実験利用に係るプラットフォーム提供、将来の国際宇宙探査への活用などを目的とした新たな無人補給船です。全長は8メートル、直径は4.4メートル、総重量は16tonです。そのうち、約5.8tonの荷物をISSへ運ぶことが可能です。HTV-X1号機はH3ロケットによる打ち上げが予定されています。
さらに、HTV-Xの将来計画として、実証された技術がISS退役後のミッションに活用できるよう開発を進めています。アメリカを中心に検討が進められている月周回宇宙ステーション「ゲートウェイ」構想に対して、JAXAではHTV-Xを用いたゲートウェイへの物資補給も検討しています。ゲートウェイとは、月の周回軌道上に構築される宇宙ステーションのことで、有人月探査や将来の有人火星探査を目指して国際協力により開発がされています。ゲートウェイは2026年の完成を目指していて、将来的には100日程度の長期滞在も可能になる予定です。今までISSとHTVのドッキングはロボットアーム操作により結合を行っていましたが、月のゲートウェイでは無人での自動ドッキングが必要なため、HTV-X1号機でのISS事前実証に向けて技術開発を行っています。
■2026年度:火星衛星探査計画「MMX」
MMXは、はやぶさ、はやぶさ2に続く、JAXAの小天体探査戦略の中核を担うミッションで、世界初の火星衛星サンプルリターンミッションです。
火星の衛星フォボスのサンプルを採取し、太陽系の中で水・有機物が、どのようにして惑星に供給され、生命が誕生・居住可能な環境ができたのかを明らかにします。また、火星圏への往還技術や天体表面上での高度なサンプリング技術、さらには深宇宙探査用地上局を使った最適な通信技術と、これからの惑星や衛星探査に必要とされる技術の向上も行います。
探査機は、地球から打上げ後、約1年をかけて火星圏に到着し、火星周回軌道へ投入されます。その後、火星衛星の周回軌道に入り、火星衛星観測・サンプル採取を行います。観測と採取を終えた探査機は、サンプルを携えて地球に帰還します。現状は2026年度打上げ、2027年度火星周回軌道投入、2031年度地球帰還を計画しています。
【関連記事】