2050年に建設「宇宙エレベーター構想」人々が気軽に宇宙へ行ける時代が到来へ
私達が海外旅行と同じ感覚で宇宙に行ける日はやって来るのでしょうか。もしかしたら、それを実現してくれるのは「宇宙エレベーター」かもしれません。日本企業の大林組が取り組む宇宙エレベーターについて、その構想をご説明します。
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■宇宙エレベーターはどんな原理?
宇宙エレベーターとは、その名の通り地球から宇宙へ移動するためのシステムです。しかし、何もない宇宙にどうやってケーブルを伸ばすのでしょうか。例えば、人工衛星は常に燃料を使って高度を上昇させている訳ではなく、高速で地球の周りを飛行することで、重力と釣り合った状態で周回しているのです。
宇宙エレベーターはこの原理を利用し、地球を周回する重りを宇宙に打ち上げ、そこからケーブルを伸ばすことで、人や物資を運ぶことを目的としているのです。
■地球上の発着点「アースポート」と様々な施設
皆さんが宇宙エレベーターを使う時には、海中トンネルを通って地球の赤道上に位置する「アースポート」に向かいます。このアースポートは海上に設置されており、まるで国際空港のような利用の仕方になることでしょう。
宇宙に昇るまでの間に、様々な施設を通ることとなります。まずは、火星重力センターで、地球の1/3程度の重力を体験することができます。そこから更に上昇すると、月重力センターでは地球の1/6程度の重力を体験し、ジャンプするだけでも約3メートルの高さに到達できます。
最終的には、無重力となる軌道ステーションへ到達します。ここでは、大規模な太陽光発電により宇宙エレベーターの電力の確保や、月や火星に向かう探査機や宇宙船の発着場にもなるのです。
■宇宙エレベーターの重要素材「カーボンナノチューブ」
夢のような宇宙エレベーター構想ですが、果たしてその実現性はどの程度なのでしょうか。実は、1980年代までは宇宙まで伸びる頑丈なケーブルが作れないため、技術的に成立性はなかったのです。
しかし、1991年に「カーボンナノチューブ」と呼ばれる軽くて強度が高い新素材が発見されました。これにより、宇宙エレベーターの実現が現実味を帯びてきたのです。
日本の建設会社である大林組は、この宇宙エレベーターの建設構想を発表しており、2050年までの完成を目標としています。宇宙エレベーターが実現されれば、人が宇宙へ自由に旅行できる世界が訪れますね。
次回の記事では、大林組が取り組んでいる国際宇宙ステーションでの実験について解説していきます、お楽しみに!
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