アマゾンの求人2割増もグーグルやFB、ツイッターなど軒並み減少
米CNBCによると、今年(2020年)4月における米アマゾン・ドット・コムの米国求人数は約3万6000人で、前年同月から19%増加したという。
米国では、失業保険の申請者数が3月中旬から5月上旬までの8週間で計3650万人となり、過去例のない高水準に達したと伝えられた。
新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷で、多くの企業が採用を控える中、消費者に食料品を販売し、企業にクラウドサービスを提供するアマゾンは、雇用を拡大し続けているという。
アマゾン以外軒並み減少、合計で5割減
これは、米シティグループのアナリストらによる調査レポートを基に報じたもの。アマゾンを除く企業の4月時点の求人数は合計で、前年同月から51%減少したという。
米グーグルの持ち株会社である米アルファベットや米イーベイ、米フェイスブック(FB)、米ツイッター、米ネットフリックス、米グラブハブが軒並み求人を減らしている。また、自動車情報サイトの米カーズ・ドット・コムと旅行サイトのドイツ・トリバゴは大幅に減少したという。
アマゾンは4月中旬、北米の物流施設などで7万5000人を追加採用すると発表した。3月半ばには、10万人を新規雇用すると明らかにしていたが、わずか1カ月で募集枠が定員に到達。依然として食料品や日用品などの注文が殺到しており、人員を増やして需要に応えるとしていた。
採用ペース落とすグーグル、従業員数見通し撤回のツイッター
一方で、広告収入が売り上げの大半を占めるアルファベットは、コストを削減を図る方針を表明。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は4月半ばに従業員宛のメモで、「一部の戦略的重要分野では採用を続けるが、採用のペースを著しく落とすべき時期だと考えている」と述べた。
ツイッターは3月に「企業の事業活動や世界経済情勢に及ぼす影響の深刻さが高まり、広告の需要にも影響が出ている」とし、従業員数や設備投資などに関する年間見通しを撤回した。
こうした中、アマゾンは積極的に従業員数を増やしている。同社は先の決算発表で、今年3月末時点の従業員数(個人請負と派遣を除く)が84万400人となり、1年前から33%増加したと報告した。
コロナ禍、中小企業に大打撃
一方で、米国でも中小企業の雇用が深刻な問題になりつつあるようだ。フェイスブックが中小企業団体の米スモール・ビジネス・ラウンドテーブルと4月に共同で実施した調査によると、現在、事業活動の一時中止を余儀なくされている中小企業のうち、事業再開後に以前と同じ人を再雇用すると考えている企業は45%にとどまった。
これは従業員数500人以下の企業の経営者などを対象に質問し、約8万6000人から回答を得たもの。5月時点で31%が事業活動を停止。このうちの約3分の1が再開の予定がないと回答。未払い金や家賃支払いのめどが立たないことを理由に挙げている。
- (参考・関連記事)「新型コロナで米欧の外食需要消滅、レストラン店内飲食、3月下旬から100%減 (小久保重信) -Yahoo!ニュース個人」
- (このコラムは「JBpress」2020年5月20日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)