「借りて住みたい街」1位に躍り出た本厚木、背景にキャンプブームと大和トンネル渋滞?
LIFULLが緊急実施した「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング(首都圏版)」が、9月8日に発表された。
ステイホームやテレワークが広まった4月から8月、同社のサイトに掲載された物件で検索・問い合わせの多い街から選定されたもので、今回、1位となったのは神奈川県の「本厚木」。小田急小田原線の本厚木駅周辺だ。
これまで同ランキングで4年連続の1位だった「池袋」を抑えて、都心から1時間圏の「本厚木」が1位に選ばれた。といっても、「本厚木」は昨年のランキングでも4位だったので、“無名の街”だったわけではない。借りて住みたい街としては、以前から人気上位の街だった。
人気が高い理由は、小田急線の複々線化完了で都心へのアクセスが向上したこと、行政の子育て支援が充実していること、ソニーをはじめ多くの企業が本厚木エリアに工場を設置しており、賃貸需要が多いことなどが理由だろう。
「本厚木」が1位に躍進した理由は
もともと借りて住みたい街上位の常連だった「本厚木」が、今回1位に躍進した。
その理由としてまず頭に浮かぶのが、昨今のキャンプブームだ。
ここ数年、キャンピングカーを使ったキャンプの人気が高まっているのだが、ステイホームが広まってから、その人気はさらに盛り上がっている。
賃貸住宅には、「嫌になったら、別のところに移ればよい」という気軽さがあるため、ブームによる人気エリアが生じやすい。サーフィンブーム華やかなりし頃は、湘南や房総の賃貸が人気となったことがある。そして、キャンプブームの今、本厚木に注目する人が多くなり、検索数が増えたのではないか。
本厚木なら、数多くのキャンプ施設がある丹沢や箱根、伊豆方面に車で行きやすい。近年開通した圏央道を利用すれば、湘南方面にも相模湖、奥多摩方面にも近い。そう考えた人が、「本厚木」にいい賃貸物件はないか、とさかんに検索したと考えられるわけだ。
そして、高速道路の渋滞を回避しやすいのも、「本厚木」に住む利点となる。
大和トンネルの渋滞を回避できる場所
都心や横浜方面から丹沢、箱根、伊豆、多摩方面に車で出かける場合、問題になるのが、高速道路の渋滞。特に東名高速道路の場合、上りも下りも「大和トンネルを先頭にした渋滞」が発生しやすい。
下りの渋滞は朝早く出発することで回避できる。が、回避しにくいのが上りの渋滞。キャンプ地から都心や横浜方面に帰る夕方の時間帯、「大和トンネルを先頭にした渋滞」は、10キロメートル以上になるのが当たり前。平日の夕方でも、同様の渋滞が発生する。渋滞を避けて国道246号線や横浜新道を使っても、すべて混んでいるため、「この渋滞がなければよいのに」と思うキャンプ愛好家は少なくない。
その点、本厚木駅周辺に住めば、渋滞が始まる前に高速道路を下りることができるので、ストレスがない。そう考える人が多いことでも、本厚木の物件検索が増え、「借りて住みたい街ランキング」で1位になったのかもしれない。
ちなみに、その大和トンネル周辺は、慢性的な渋滞を解消させるべく道幅を広げる工事が行われている。その工事のために、現在は道幅が以前より狭く見える。そのことが、よけいに渋滞を増やしている側面もありそうだ。
大和トンネルの渋滞にヘキエキとしたキャンパーたちが、いっそ「本厚木」に住んでみるか、と賃貸物件を検索する……そんな姿が想像されるのである。