Yahoo!ニュース

「40試合で15本塁打」は復活の証なのか。ポストシーズンは12打数1安打

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・カーペンター Aug 5, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 サンディエゴ・パドレスは、ベテランの内野手、マット・カーペンターをチームに加えた。契約の合意をいち早く報じたのは、パドレスのビート・ライター、MLB.comのAJ・キャッサベルだ。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールらによると、2023年の年俸は600万ドルで、2024年は同じく年俸600万ドルの選手オプション。出来高もついていて、総額は2100万ドルに達する可能性があるという。

 2019年以降、カーペンターは不振に陥り、昨オフ、セントルイス・カーディナルスに年俸1850万ドルの球団オプション(解約金200万ドル)を破棄された。今年3月にテキサス・レンジャーズとマイナーリーグ契約を交わし、AAAの21試合で6本塁打を含む長打13本を記録した後、5月に自ら望んで解雇してもらい、ニューヨーク・ヤンキースに入団した。こちらは、メジャーリーグ契約だ。

 そして、5月下旬から7月下旬までの40試合で15本のホームランを打った。8月上旬に自打球で左足を骨折し、レギュラーシーズンが終わるまで復帰できなかったが、47試合で打率.305(128打数39安打)、出塁率.412、15本塁打、OPS1.138を記録した。ホームランのペースは、8.5打数に1本。チームメイトだったアーロン・ジャッジの9.2打数/本を上回り、2本塁打以上の468人中トップに位置した。

 ただ、故障者リストから復帰したポストシーズンでは、長打なしの12打数1安打、9三振に終わっている。先月下旬には、37歳の誕生日を迎えた。

 今年のレギュラーシーズンほど打ちまくるとは思えないが、打てなかったポストシーズンのサンプル数はさらに少ない。これまでの実績からすると、一時的な好調ではなく、復活を果たした可能性は大いにある。パドレスも、そう考えているのではないだろうか。2015~18年の4シーズンとも、カーペンターは、20本塁打以上と30二塁打以上、出塁率.365以上とOPS.830以上を記録している。2018年は、36本のホームランを打った。また、不振の2019~21年(と今シーズン)も、四球率は12%を超えていた。

 来シーズンは、DH出場が多くなりそうだが、カーペンターは複数のポジションをこなす。この点も、パドレスがカーペンターを迎え入れた理由の一つだと思われる。守るのは、遊撃以外の内野3ポジションにとどまらない。今シーズンは、8年ぶりに外野の守備にもついた。レギュラーシーズンでスターティング・ラインナップに名を連ねた35試合の内訳は、DHが16試合、ライトが11試合、一塁とレフトが3試合ずつ、三塁が2試合だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事