錦織だけじゃない! 国枝ら全豪オープンで躍動する日本人プレーヤーを見逃すな!
テニスの四大大会の第1戦となる全豪オープンテニス。28日の男子シングルス準々決勝では、第5シードの錦織圭(日清食品)が第4シードのスタニスラス・ワウリンカ(スイス)にストレートで敗れた。実は、この試合のほぼ同じ時間帯に、ふたりの日本人選手が別のコートで試合をしていたことをご存知だろうか。車いすテニスプレーヤーの国枝慎吾(ユニクロ)と上地結衣(エイベックス・グループ・ホールディングス)だ。
全豪オープン車いすの部は、28~31日までメルボルン・パークで開催
最初に、車いすテニスのグランドスラムについて説明しておこう。
彼らが出場しているのは全豪オープンの「車いすの部」。28日から31日までの日程で、男子、女子、クァード(四肢まひ)クラスのシングルスとダブルスのトーナメントが行われる。
一般のテニス選手と同様に、国枝や上地ら車いすテニスプレーヤーも世界ツアーを転戦している。そしてやはり、この全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン(ダブルスのみ開催)、全米オープンの4大会が最高グレードのグランドスラム大会に位置づけられており、いずれの大会も同じ会場を使って開催されている。つまり、今大会と全米はハードコート、全仏はクレーコート、ウィンブルドンは芝のコートでプレーする。一般の選手がコートごとに靴を履き替えるように、選手はそれぞれに合わせた車いすのセッティングで試合に臨んでいる。
一般のグランドスラム大会と異なるのは、世界ランキングのトップ7とワイルドカード枠の1名の8選手のみが出場できるという点だ。男子世界ランキング1位を独走する国枝は今大会、第1シードで登場。日本勢では現在、眞田卓(埼玉トヨペット)が世界ランキング8位につけているが、ワイルドカードの「8番目」には地元・オーストラリア選手が選出されたため、今回は出場できなかった。女子の上地は、20歳ながらこちらも世界ランキング1位。堂々の第1シードで頂点を狙う。
車いすテニスは、2バウンドでの返球が認められている以外は、通常のテニスのルールと変わらない。テニスの技術はもちろんのこと、競技専用の車いすをラケットを持ちながら操作し、圧倒的なスピードでボールを打ち合うその迫力は、テニスを愛する地元の目の肥えた観客を唸らすほど見ごたえ十分だ。今年も車いすテニスならではの魅力に、多くの人が触れることになるだろう。
国枝・上地とも初戦突破で準決勝へ
さて、試合に話を戻そう。28日はシングルス1回戦が行われ、国枝はマイケル・シェファーズ(オランダ)に6-2、6-3で勝利。女子の上地も、シャロン・ワラベン(オランダ)を6-3、6-1のストレートで下し、それぞれ準決勝進出を決めた。
昨年、4大大会すべてで優勝し、自身3度目の「年間グランドスラム」を達成した国枝。ハードコートを得意とする彼は、とくに全豪との相性がいい。2007年から5年連続で単複優勝を果たし、右肘の手術をした12年の翌年から、再び単複ともに2連覇中だ。今年に入り、全豪オープンの前哨戦となった2つの国際大会で優勝するなど好調をキープ。通算8度目の優勝に期待がかかる。一方、上地も2週間前のシドニー国際で優勝。昨年の全豪オープンでは決勝で敗れて悔しい思いをしただけに、この勢いに乗ってタイトルを獲りにいく。
日本が誇る車いすテニスプレーヤーたちの熱い戦いに、今年も目が離せない。