決勝は三菱重工Eastと大阪ガスに【第46回社会人野球日本選手権大会デイリー・リポート11】
第46回社会人野球日本選手権大会11日目は準決勝2試合が行なわれ、三菱重工Eastが昨年の都市対抗準優勝のNTT東日本に6対1で快勝。大会連覇を狙う大阪ガスは、Hondaに2点をリードされながら、9回裏に一気の猛攻で逆転サヨナラ勝ちを収めた。
第1試合では、NTT東日本が新人ながら投手陣の軸を担う上出拓真を先発に立てる。飯塚智広監督も「春先から柱になり、この舞台に立てたのも上出のおかげ」という右腕を、三菱重工Eastの打線は初回から攻略する。
1回裏に一死から八戸勝登が四球で出ると、二死後に小栁卓也が左前安打、江越啓太は四球で満塁に。ここで、久木田雄介がセカンド左へ放った打球は内野安打となり、幸先よく1点を先制する。さらに、矢野幸耶の中前安打で2点を追加。続く2回裏にも1点を奪い、三菱重工Eastが試合の主導権を握る。
そして、5回裏には中山遥斗と小栁が連続ソロ本塁打を放って上出をマウンドから引き摺り下ろす。これで勝負あったか。NTT東日本の打線は、連投で先発してきた左腕の本間大暉を打ちあぐね、8回表に交代した大澤志意也から1点を奪うのがやっと。昨年の都市対抗で準優勝し、この大会もベスト4と実力の高さは十分に発揮したが、頂点に立つことはできなかった。
9回裏に怒濤の連打で連覇への道をつなぐ
Hondaが昨年の都市対抗との2大会連続日本一を目指すなら、大阪ガスが狙うのは2年越しの大会連覇だ。前回大会で最高殊勲選手賞に輝いた阪本大樹が、満を持して先発マウンドに立つ。Hondaはルーキーの片山皓心が3試合目の先発だ。
大阪ガスの無失点がどこまで続くかにも関心が集まっていたが、Hondaは2回表に先手を取る。先頭の辻野雄大がショートへの内野安打で出塁し、すかさず二盗。この時、捕手の送球がセンターへ逸れて辻野は三進。そして、山本瑛大の遊ゴロの間に先制のホームを踏む。
大阪ガスはすぐに反撃したかったが、Hondaバッテリーの巧みな配球の前に、3回裏一死二塁、4回裏無死一塁、6回裏には一死一、三塁も得点を奪えない。すると、7回表のHondaは先頭の佐藤竜彦が四球を選び、辻野が送った一死二塁で、山本瑛が中前に打ち返して2点目を奪う。大阪ガスは投手を田中誠也に代えて続くピンチを凌いだものの、2点のビハインドはかなり重いと思われた。実際、7回、8回とチャンスさえ作れずに終える。
「でも、ベンチの中は暗くなかった。誰も諦めてはいなかったんですよ」
大会途中でスタメンを外れた青栁 匠がそう振り返るように、9回裏の攻撃を迎える大阪ガスの選手たちには活気があった。そんな中、先頭の峰下智弘がセンターの右に落とす安打を放つと、2併殺に打ち取られている末包昇大も左前安打で続く。
「試合のはじめから、機動力も駆使して2点を取りにいく攻撃を考えていた。だから、9回裏無死一、二塁でも送りバントで同点を狙うのではなく、一気に3点を取ろうとした」
そう前田孝介監督が言うように、三井健右も一、二塁間を割って1点を返す。末包も三塁まで達し、三井の代走に大谷幸宏が送られる。とうとうHondaは片山を諦め、福島由登にマウンドを託す。
だが、大阪ガスの勢いは止まらない。清水聖也もショートの左を抜いて同点に。大谷が三進したことで、代打の山川晃汰は申告敬遠で満塁となる。山川の代走に杉内洸貴。代打には青栁。ついに前田監督が勝負手を打つと、青栁は変化球に泳がされたもののレフト線に落とす。
まさか、ワンアウトも取られずにサヨナラとは……。野球の怖さと面白さが混在するシーンで、大阪ガスは連覇への道をつないだ。日本一が決まる決勝は、7月14日の午後4時にプレイボールだ。
(写真提供/小学館グランドスラム)