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渡辺明名人(37)3連覇か? 斎藤慎太郎八段(28)頂点に立つか? 4月6日、名人戦七番勝負開幕

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月6日・7日。東京都文京区・ホテル椿山荘東京において第80期名人戦七番勝負第1局、渡辺明名人-斎藤慎太郎八段戦がおこなわれます。

 2003年、弱冠20歳で竜王位に就き、以後ずっと将棋界のトップクラスで活躍し続けてきた渡辺現名人。不思議なことに、長い間、名人位には縁がありませんでした。

 しかし2019年度A級順位戦は全勝で駆け抜けて名人初挑戦。2020年、七番勝負で豊島将之名人(当時)を破って、ついに名人位に就きました。

 渡辺名人は2021年、斎藤八段の挑戦を退けて2連覇を達成しています。

 渡辺名人は今期、3連覇がかかります。名人位を通算5期獲得すると、永世名人の資格を得られます。渡辺名人には20世名人の期待もかかっています。

 斎藤八段は2020年度に続き、21年度A級も8勝1敗で制しました。

 名人戦は2年連続で、斎藤八段が渡辺名人に挑みます。

 両者の過去の対戦成績は、渡辺8勝、斎藤4勝です。

 渡辺名人の2021年度成績は23勝18敗(勝率0.561)でした。

 渡辺名人は名人戦防衛のあと、棋聖戦五番勝負、王将戦七番勝負で藤井聡太現五冠(竜王・王位・叡王・王将・棋聖)にストレート負けを喫しました。しかし銀河戦では前期覇者の藤井銀河に勝って準優勝。棋王戦では永瀬拓矢王座の挑戦を退けて防衛。依然、藤井現五冠以外には、歳下相手にタイトル戦番勝負に敗れていません。

 斎藤八段の2021年度成績は25勝16敗(勝率0.610)です。名人戦敗退後、A級順位戦での戦いは堂々たるもの。実力制が施行されて以来、16人目の名人となっても、なんら不思議ではありません。

 第1局の先後は対局開始直前、振り駒によって決められます。持ち時間は現将棋界で最も長い9時間の2日制です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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