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【安田記念】前日オッズ単勝1.8倍のグランアレグリア、ファンの不安心理の表れか

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2020年マイルCS(GI)優勝のグランアレグリア(写真:日刊スポーツ/アフロ)

グランアレグリアの単勝オッズは1.8倍

 6日、東京競馬場で安田記念(GI)が行われる。今年は14頭が参戦。昨年、マイル春秋制覇を成したグランアレグリアが前日オッズ1.8倍と1番人気に支持されている。しかし、実績を考えるとこの数字は微妙だ。

 彼女の実績を考えれば、もっと数字は下がっても良さそうなものだが、レース当日午前11時の段階で1.7倍とわずかに下がってはいるが、大きく数字が動いていない。

 これは、少なからずグランアレグリアに不安を抱いている競馬ファンの気持ちの表れではないかと察する。

2021年安田記念枠順(筆者作成)
2021年安田記念枠順(筆者作成)

グランアレグリアの不安要素は

 グランアレグリアの不安要素を確認しよう。

 何より、前走のヴィクトリアマイルを1分32秒0で走った後、中2週での実戦という点が気がかりだ。グランアレグリアは過去、いちばん間隔を詰めて走ったのは3歳春の桜花賞からNHKマイルの中3週であった。今回はさらに1週短い中2週である。レース後は状態を確認したあと、ノーザンファーム天栄に放牧に出されるのが常(例外は前述の桜花賞→

NHKマイルのあいだのみ)であるが、今回は在厩のままの調整だ。

 天下の藤澤厩舎で在厩のまま調整されるのは、一般的にはすごく良いことであるが、今回のグランアレグリアの場合、"いつもの調整過程ではないことをした"という点が気がかりだ。

■2019年桜花賞 優勝馬グランアレグリア

 もう少し詳しく、中3週での調整過程をおさらいしよう。桜花賞は阪神競馬場への輸送をクリアして優勝しており、NHKマイルまでの中間は放牧に出ることなく在厩のまま調整を続けた。追い切りでは好時計を馬なり出しており気配は絶好であったが、NHKマイルで外に斜行し5着入線も降着となっている。この時の記録をみると、直線では疲れを見せていたとのこと。長距離輸送も含めたGI戦線を当時のグランアレグリアにはこなしきれなかったようだ。

■2019年NHKマイルC 優勝馬アドマイヤマーズ(グランアレグリアは5着)

 ただし、実は高松宮記念→ヴィクトリアマイル→安田記念というローテーションについては、昨年も予定されていた。高松宮記念の後に熱発したことから、大事をとってヴィクトリアマイルを回避しただけであり、昨年もヴィクトリアマイルから安田記念へのレース間隔は中2週であることから、陣営が"グランアレグリアが体質的に中2週の競馬は難しいとは考えていない"ことは伺える。

 他にもこの中間は爪の具合がよくない日もあった、等、不安要素がないわけではない。しかし、これだけの実績馬であり、今年はラストシーズン(クラブ規定により6歳春までに引退し繁殖入りするため)である。状態に不安があれば回避するはず、なのである。

 よって筆者は、この安田記念もグランアレグリアに信頼を置きたい。ヴィクトリアマイルのレースをみても、勝ち方に余裕がある。確かに勝ち時計は速いが、余裕を持った勝ちかたをしていれば疲労は残りにくいものである。終わってみればアッサリというシーンに期待したい。

■2021年ヴィクトリアマイル 優勝馬グランアレグリア

相手筆頭は東京4戦3勝のラウダシオン

 相手関係だが、筆頭は東京コースは4戦3勝2着1回のラウダシオンをあげたい。こちらも京王杯SCからの中2週のローテーションは気になるが、好状態はキープされている。

 一時期は低迷していたが完全復活したケイデンスコールも見逃せない。こちらも左回りのほうが良績を残しているし、立ち直った今なら侮れない。

 3歳馬のシュネルマイスター。NHKマイルからの参戦で、斤量が54キロという点が何よりの魅力。

 ダノンプレミアムは臨戦過程が昨年とは雲泥の差。一昨年の安田記念は大きな不利を受けるなど、過去2戦は何とも相性の悪いレースではあるが、ここは三度目の正直を期待したい。

 その一昨年の優勝馬・インディチャンプはマイルに戻って見直したいところ。サリオスも良馬場なら見限れない。

■2020年安田記念(GI) グランアレグリア

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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