お金がいくらあっても足りない! お客様ももっと「やる気」を出さないと売ってくれない時代に
お客様も「受け身」ではダメ!
私は営業コンサルタントです。「お客様に頭を下げてでも売ってこい」とは言いませんが、営業職である以上「受け身」ではいけないと、いつも指導しています。前のめりになってお客様と関係を構築し、仕事をいただく努力をしていかないと、今の時代、売れるものも売れません。
それと同じように、お客様のほうもまた「受け身」ではいけない時代になってきました。自社の問題を解決してくれる企業はどこにあるのか、正しく調査して仕事を依頼し、こちらの要望を受けてもらう努力をすべきなのです。そうでないと、質の高い事業を展開している企業に仕事を頼むことができなくなっているのです。
大企業神話など、とっくに崩れている
お客様のリピート率が高かったり、紹介での受注が多い企業は、積極的に自社の商材をアピールする必要がありません。クオリティの高い仕事をしていれば、評判が評判を呼んで、次から次へと仕事が舞い込んでくるからです。
今の時代、力のある小規模な企業がドンドン増えています。巨額な設備投資が必要で、大企業でなければできない業界もありますが、そうでなければ、
大企業=いい仕事をする会社
という構図は、とっくに崩れています。
ところが、いつでも営業されることに慣れているお客様は、小さくて評判の高い企業を見つけることができません。たとえ誰かに紹介されたとしても「上から目線」を崩さないため、相手にされないのです。
当社も15名の経営コンサルティングファームです。無理に事業を拡大しようとしていませんので、横柄な態度のお客様とはなるべく接しないよう気をつけています。
「売る側」と「買う側」の大原則
常に上から目線のお客様は、「売る側」と「買う側」の関係は対等であるという大原則を忘れています。
自分の家を買う、車を買う、日用品を買う、というのならともかく、会社のお金で、備品や設備、ITソリューションなどの購入・採用する事象に対してどれほどの関心を持って対応しているのか。「お客様」としての意識レベルを計測してほしいと思うことがあります。
これは、私が営業コンサルタントだから、わかることだと言えます。残念なことに、それほど意識の高いお客様に出会うことは、本当に稀です。
「お客様」という役割を再考する
商品を「買う側」、仕事を「依頼する側」としての「お客様」は、今後どうあるべきなのか。これからは、高い意識をもって考えていく時代になっていくはずです。曖昧な基準で意思決定をしていたら、お金がいくらあっても足りません。とても生産性の高い仕事などしていられないのです。
なぜいい人材を採用できないのか? いま利用している人材紹介会社は本当にいいのか? 多様化する採用チャネルをすべて調査したか?
なぜ導入した情報システムはことごとく失敗したのか? 本当に必要なシステムだったのか? アフターフォローの内容まで精査してシステムベンダーを選んだのか? 相手に言われるまま、「受け身」で仕事を依頼しているから、こういうことになるのではないか……。
本当にいいものを見抜くためには、広告・宣伝に騙されないことです。
営業がお客様にヒアリングする以上に、お客様みずから巧みな「質問」をもっとすべきです。営業が言うことだけを鵜呑みにせず、自分の足を使って調べ、もっと自社に有益なものはないか、もっとコストパフォーマンスに優れた商材はないのかと、能動的に考えるのです。
お客様としての意識改革
個人が一般消費財を購入するときは、どうしても大企業、知名度の高い企業の商材に関心がいってしまうのは仕方がありません。
しかし企業間取引で考えた場合、「与信」さえクリアになれば、取引相手が大企業である理由はほとんどありません。心理的安心感を得たいだけで選ぶケースは、「お客様」としての調査能力が低すぎると言えるでしょう。
これからは「お客様」としてのアイデンティティを見つめなおす時代に入っていくかと思います。「お客様」として、より高い意識が求められる時代になっています。もっと「やる気」を出して、お客様としての役割を果たしましょう。繰り返しますが、そうでなければ、お金がいくらあっても足りません。