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涌井秀章の「150勝&30セーブ以上」はどれくらいレアなのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
山田久志と涌井秀章(手前の2人) MARCH 5, 2009(写真:アフロスポーツ)

 6月4日に登板した涌井秀章(東北楽天ゴールデンイーグルス)は、6イニングで5失点ながら白星を手にし、通算150勝に到達した。

 涌井は、通算37セーブも記録している。埼玉西武ライオンズ時代の2012~13年に、シーズン30セーブと7セーブを挙げた。

 通算150勝以上は、涌井を含めて49人。セーブが公式記録となった1974年以降も一軍の試合に登板したのは、28人だ。そのうちの7人は、通算150勝以上とともに、通算30セーブ以上も記録している。

筆者作成
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 江夏豊(206勝&193セーブ)と槙原寛己(159勝&56セーブ)は、先発からリリーフに転向した。佐藤義則(165勝&48セーブ)は、リリーフに転向後、再び先発に戻った。山田久志(284勝&43セーブ)と松岡弘(191勝&41セーブ)と村田兆治(215勝&33セーブ)は、先発としてもリリーフとしても投げた時期がある(この時代の投手は、そういう起用が珍しくなかった)。涌井が最も近いのは、佐藤のパターンだ。

 パターンはそれぞれながら、4人に1人(28人中7人)という割合は、決して低くないように思える。今シーズンに入ってから、涌井が通算勝利のランキングで追い抜いた2人も、150勝&30セーブ以上に近い。星野仙一は146勝&34セーブ、大野豊は148勝&138セーブだ。

 ただ、涌井に続く150勝&30セーブ以上が出てくる気配は、今のところない。

 現時点で12球団のいずれかに在籍している、通算75勝――150勝の半分――以上の投手は17人。トップ3は、174勝の石川雅規(東京ヤクルト・スワローズ)、150勝の涌井、141勝の和田毅(福岡ソフトバンク・ホークス)だ。この17人のうち、通算20セーブ以上は涌井だけ。通算二桁のセーブを挙げている投手も、涌井以外には、102勝&17セーブの大竹寛(読売ジャイアンツ)しかいない。他の15人は、いずれも通算5セーブ以下。石川と和田をはじめとする8人は、通算0セーブだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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