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「1日でとことん教えていただいた」棋聖戦第1局、2千日手の末に勝った永瀬拓矢挑戦者コメント

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

1回目の千日手局

永瀬拓矢挑戦者「(藤井聡太棋聖先手で相掛かり)こちらの2歩損という岐(わか)れというか、展開だったんですけど。先手の6六の角は使われてしまうとまずいので(48手目)△5五歩からできる限り緩和をしたつもりではあったんですけど。展開としては自信はないような気もしたんですけど、具体的にどうされるかちょっとわかってなかったので」

2回目の千日手局

永瀬「(永瀬先手で角換わり腰掛銀)作戦としては打開したかったんですけど、ちょっと準備の薄い形になってしまったので。まあ仕切り直しということで。そうですね、先手としてはつまらないんですけど。なんかプランがしっかりしなかったので」

再指し直し局(決着局)

永瀬「(藤井先手で角換わり腰掛銀、永瀬の序中盤の指し手は早かった)ただ、先手に選択肢が多い将棋なので。準備からはずれたら手は止まるのかな、とは思ったんですけど。後手は対応できるかどうか、というか。バランスが取れるかどうか難しい将棋だと思っていましたので。先手が選んできた手に対応していく感じかな、とは思ってました」

1日を通して

永瀬「1日3局を指すというのはかなりのレアケースだと思いますので。そういう経験・・・。自分はたぶん、早指し棋戦以外だと初めてだと・・・。あれ? 思う・・・。ちょっと出てこないんですけど、可能性はあるんですけど(※)。1日でとことん教えていただいたので、そういう1日だったのかな、と思います」

※NHK杯(早指し)の他にも、新人王戦、順位戦で1日3局の例あり。

第2局への抱負

永瀬「次戦が先後は決まりますので、しっかり準備して。今日は先手番を活かせなかったので。(第2局は)先手番ですので、活かせればいい。活かせるように準備したいなと思います」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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