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銀座のホテルに期間限定のレトロゲームコーナーが登場 なぜ

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
ハイアット セントリック 銀座 東京のレトロゲームコーナー(※筆者撮影。以下同)

東京・銀座にあるホテル、ハイアット セントリック 銀座 東京の4階ライブラリーラウンジの一角に、5月1日からアーケードゲームコーナーが設置された。

本コーナーは、東京・高田馬場にある有名ゲームセンター「ゲーセンミカドxナツゲーミュージアム in 白鳥会館」(※以下、ナツゲーミカド)とのコラボにより実現したもので、6月30日までの期間限定で設置される。筆者が取材した5月1日の時点では、主に80~90年代に発売された懐かしのアーケードゲームが合計13台稼働していた。

それにしても、銀座という超一等地に居を構えるライフスタイルホテルが、なぜレトロゲームに特化したコーナーを設けたのだろうか?

会場のハイアット セントリック 銀座 東京
会場のハイアット セントリック 銀座 東京

銀座のホテルとは思えない、ビックリするほどの敷居の低さ

ハイアット セントリック 銀座 東京の田口徹哉オペレーション統括部長によると「以前にガチャガチャや、おもちゃ関連の企画を実施したことなどがきっかけで、ナツゲーミュージアムのオーナーさんと知り合いました。そこで『ナツゲーミカド銀座も実施してはどうか?』と思い付いたことがきっかけで、今回のコラボが実現しました」という。

田口氏によると、現在は宿泊客の何と95パーセントが外国人で、日本のゲームやマンガ、アニメに興味を持つ人も非常に多いとのこと。なので、本コーナーを通じて日本らしさを体験してもらうサービスの一環としても機能させ、さらには銀座の町を盛り上げることも狙いとしているそうだ。

また、レトロゲームコーナーのすぐ下の階にはレストランやバーがあるので、ホテル側としてはゲームを遊んだ客が、ここでコーヒーやビールなどを飲みつつ、歓談の場として利用してほしいとの狙いもある。

「我々といたしましては、まずはこのスペースを利用して当ホテルの存在を知っていただきたいと考えております。高田馬場のゲームセンターのお客様で、銀座にはまだ来たことがない方にも、この機会にお越しいただけたらたいへん嬉しいです」(田口氏)

左から順に「R-TYPE」「VS.スーパーマリオブラザーズ」「ニューラリーX」の設置コーナー
左から順に「R-TYPE」「VS.スーパーマリオブラザーズ」「ニューラリーX」の設置コーナー

筆者は当初、取材の際は正装でなければ入館を断られる、もっと言えば、そもそも自身のような人間が足を踏み入れてもいい場所なのか、正直かなり抵抗があった。

だが、ことライブラリーラウンジに関しては、過去にガチャガチャを設置したことでも明らかなように非常に敷居が低く、同じフロアには宿泊客向けにaibo(※ソニーのエンタテインメントロボット)の「ロック」に会えたり、駄菓子を提供したりするコーナーまでもが用意されていたので大いに驚かされた。

「このようなイベントを実施するホテルは、銀座周辺には他にないかと思います。ご宿泊だけでなく、レストランをご利用のお客様も、ゲームが目的のお客様も、ぜひお越し下さい。もっと多くのゲームをお楽しみになりたい方は、ゲーセンミカドさんやナツゲーミカドさんにも足を運んでいただければと思います」(田口氏)

ライブラリーラウンジエリアの「aiboラン」で宿泊客を出迎える「ロック」
ライブラリーラウンジエリアの「aiboラン」で宿泊客を出迎える「ロック」

貴重な海外バージョンの基板、筐体も設置

ゲームの筐体(きょうたい)および基板を提供した、ナツゲーミュージアムのオーナーによると、設置タイトルは外国人の宿泊客が多いこともあり、オーナー自身のセレクトに加えてゲーセンミカドで外国人客に人気があるものを選び、さらにいくつかの基板は海外バージョンを意識して選んだそうだ。

ちなみに同オーナーによると、今回のイチ押しは4人同時プレイができる海外バージョンの「タンクフォース」(※国内バージョンは、同時プレイができるのは2人まで)で、設置タイトルは今後の状況を見て入れ替える可能性もあるとのことだった。

またゲームの基板だけでなく、筐体も海外で人気があり、なおかつ今となっては非常に珍しいものが用意されているので、レトロゲーム好きを自称する人は、こちらにも要注目だ。

今回の目玉タイトルである「タンクフォース」の海外バージョン。ちなみに筐体は、4人同時プレイに対応できるよう「ガントレット」のものを使用している
今回の目玉タイトルである「タンクフォース」の海外バージョン。ちなみに筐体は、4人同時プレイに対応できるよう「ガントレット」のものを使用している

5月1日時点での設置タイトルは以下のとおりで、いずれも1プレイ100円で稼働中。宿泊客以外でも利用できるので、銀座周辺に出掛ける予定のある人は、ぜひ会場に足を運んでみてはいかがだろうか。

<設置タイトル ※5月1日時点>

・「テトリス」

・「ファイナルファイト」

・「ハットトリックヒーロー」

・「ドンキーコング」(※海外バージョン)

・「ストリートファイターII'」

・「魂斗羅」

・「グラディウスII」

・「タンクフォース」(※海外バージョン)

・「R-TYPE」

・「VS.スーパーマリオブラザーズ」(※海外バージョン)

・「ニューラリーX」

・「日本一周旅行ゲーム」

・MVS(ネオジオ)筐体:1台で「メタルスラッグ」「ソニックウィングス3」「パズルボブル」「ザ・キング・オブ・ファイターズ'97」の4タイトルが稼働

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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