「プロフェッショナル」になるには? 「プロ意識」はどうしたら持てるのか? そのプロセスを考えてみた。
「あの人はプロフェッショナルだ」「彼女はプロの仕事をする」「彼はプロ意識が高いね」……などという表現があります。専門性の高い仕事を、一定の水準以上の品質でやり続けている人。高いクオリティの仕事をすることはもちろんのこと、自分を律し、体調を整えたり、自己研鑽を続けるなど、当たり前のことを当たり前にやり続ける人などを指すことでしょう。
私は現場に入って、目標を絶対達成させるコンサルタントです。大切にすることは「プロセス」です。「結果」ではありません。しかし、多くの人が「結果」に至っている状態を「プロセス」と勘違いして言葉を使っているのです。たとえば、
「問題意識を持て」
「もっと自主性を発揮します」
などと言う人がいますが、「問題意識を持っている状態」は結果です。プロセスではありません。「自主性を発揮している状態」もまた結果であり、プロセスではありません。したがって、どんなに「問題意識を持て」と言われても問題意識を持ちようがないし、「自主性を発揮します」と誓っても自主性を発揮することはできないのです。
「結果を出せ」と言われ、「結果を出します!」と叫んでいる人と同じです。完全に精神論です。「100メートルを10秒で走れ!」と言われて「100メートルを10秒で走ります!」とは普通言えません。どうやったら10秒で走ることができるのか? そのトレーニング方法など「プロセス」をまず知る必要があるからです。
また「結果」に至っている状態というのは、千差万別。いろいろな状態があります。つまり問題意識を持っている状態というのは、どういう状態かと言っても、意外とよくわかりません。モチベーションが高い状態、というのも、人によって異なります。しかし、人によって「状態」は様々でも、その「プロセス」はだいたい同じなのです。
今回のテーマである「プロフェッショナル」「プロ意識」も同じ。何がプロフェッショナルなのか、何をもってプロ意識があるのかと問われると、人それぞれ意見がわかれるものです。
しかしその結果に至るまでの「プロセス」はだいたい同じ。「プロフェッショナル」と呼ばれるためには、「プロ意識」があると言われるためには、ハードワークしかないのです。
南の島でのんびりと1日2~3時間、2ヶ月ぐらい勉強していたら、いつの間にか仕事のプロフェッショナルになっていた。誰にも負けないプロ意識を持つようになり、自分の感情をコントロールして、細部にも気を配ることができるような、極めて品質の高い仕事をバンバンこなせるようになった……なんてことは、まずあり得ません。
自分に厳しく、長年ハードワークを繰り返していたら、ストレス耐性、心の免疫力がアップし、誰もやりたがらない仕事も難なくこなしたり、あえて汚れ役を買って出たりして周囲からの尊敬の念を集めたりすることができるのです。
ただ勘違いしてはならないのは、ハードワークといっても、決して長時間労働のことではありません。長時間労働を繰り返している人が「プロフェッショナル」ではありませんし、決して「プロ意識」が高いかというと、そうではありません。
結果的に長い時間働くケースもあるでしょうが、ハードワークというのは、自分が苦手なこと、好きでもないことを一定の時間やり続けることを言います。できればやりたくないことだけれど、仕事の成果を出すためにはあえてやらなくてはならない。本当は怠けたいけれど、いい仕事をするためには日々の自己研鑽を怠ってはならないという価値観を持つ。……こう信じて実践する内容がハードワークなのです。
つまり、やりたいことだけをやっている人が「プロフェッショナル」になることはありません。好きな仕事しかやりたくないと思っている人が「プロ意識」を持つようになることなどないのです。結果的に、やりたいことだけをやっている状態の人はいますが、そのプロセスにおいては、苦難な道をあえて通ってきたに違いないのです。
仕事の「プロ」になりたいのであれば、必要なのは「ハードワーク」です。