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マーシュの代役を務めた外野手が、2週間経たずに元の球団へ戻る

宇根夏樹ベースボール・ライター
オースティン・ローマイン(左)とブラッドリー・ジマー Aug 25, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2週間経たずに、ブラッドリー・ジマーは、元の球団へ戻った。8月18日にトロント・ブルージェイズからフィラデルフィア・フィリーズへ移り、29日にフィリーズからブルージェイズへ移籍した。

 ブルージェイズは、8月9日にジャッキー・ブラッドリーJr.と契約を交わし、15日に同じ外野手のジマーをDFAとした。フィリーズは、18日にブランドン・マーシュを故障者リストへ入れ、その穴埋めとして、ウェーバー公示中のジマーをブルージェイズから手に入れた。そして、27日にマーシュを復帰させ、ジマーをDFAとした。29日、ブルージェイズは、ウェーバー公示中のジマーをフィリーズから獲得した。

 フィリーズへ移籍した経緯については、「マーシュの故障に伴い、新たな外野手を獲得する。この穴埋めは短期間!?」で書いた。マーシュの離脱は、最短の10日間で済んだ。故障者リスト入りの発表は8月18日だが、リスト入りの期間は、17日から26日までだ。最後に出場した試合の翌日まで、遡ることができる。

 ジマーは、8月19日から26日までの8日間に、フィリーズで9試合に出場した。20日はダブルヘッダーだ。打率.250(16打数4安打)と出塁率.250、ホームランと打点と盗塁はゼロながら、センターを守り、好守を何度か披露した。マーシュの代役を無事に務めた、と言っていいだろう。

 ブルージェイズもフィリーズも、ジマーをDFAとしたのは、不要になったからではない。他の選手との兼ね合いによるものだ。ジマーは、マイナーリーグ・オプションが切れているので、ウェーバー公示を経ずにマイナーリーグへ降格させることはできない。

 なお、これまでの例からすると、今年のワールドシリーズでブルージェイズとフィリーズが対戦すれば、どちらが優勝しても、ジマーはワールドチャンピオン・リングをもらえる。両チームとも、現時点ではポストシーズン進出圏内に位置している。

 今から29年前、ジマーが生まれた翌年に、ブルージェイズとフィリーズはワールドシリーズで対戦した。この時は、第6戦にジョー・カーターがサヨナラ本塁打を打ち、ブルージェイズがワールドシリーズ連覇を成し遂げた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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