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夏休みに訪問したい若者・車・ビールの街「ミュンヘン」

シュピッツナーゲル典子在独ジャーナリスト
ミュンヘンのシンボル・フラウエン教会 (c)norikospitznagel

ミュンヘンといえば、ビールの祭典オクトーバーフェストの街として知っている日本人は多いだろう。バイエルン州の州都で、国内一地価が高いにも関わらず、ドイツ人が一番暮らしてみたいと思う美しい街だ。

ミュンヘンを5年ぶりに訪ねた。前回はミュンヘン建都850年(2008年)の冬だったが、今回はドイツでも記録的な猛暑の中での訪問だ。夏休みシーズンと重なり、街は観光客で溢れかえっており、この街はいつ来ても活気に満ちている。

ミュンヘンの街が近代化され、都市設備が急速に進んだきっかけとなったのは、1972年オリンピック開催地に選ばれてからだ。

ドイツを代表する高級自動車BMW、 保険・金融の最大手が本社を構えるこの街は、国内で最も成長が期待される経済都市としても注目を浴びている。

さらに、アルテ・ピナコテーク、ノイエ・ピナコテーク、ユダヤ博物館、レンバッハギャラリー、国立エジプト美術館などは、ベルリンの美術館島に匹敵するほどの文化や芸術スポットとして観光客に人気が高い。

前回は、これら博物館や美術館めぐりを中心とした観光だったが、今回は目線を変えて若者が集まる下記のスポットを駆け巡った。

オリンピック公園、新市庁舎前マリーエン広場、ビクトアーリエン市場、BMW博物館、市内を流れるイザール川沿岸散策,アウグスティーナビール醸造所直営のレストラン、バナナ通りのディスコPachaなどで楽しい時間を過ごした。

バナナ通りとは、センドリンガー門からマキシミリアンプラッツまでのパーティマイル通り。道がバナナの形状をしていることからこう呼ばれていて、デイスコやバーなどが軒を連ねる若者のホットスポットだ。

(c)norikospitznagel  新市庁舎前マリーエン広場
(c)norikospitznagel  新市庁舎前マリーエン広場
(c)norikospitznagel オリンピック公園トルヴッド芸術祭会場にて
(c)norikospitznagel オリンピック公園トルヴッド芸術祭会場にて

トルヴッド芸術祭はオクトーバーフェストに次ぐ市内のカルチャーイベント。社会問題や環境問題などに目を向けた芸術家たちによって1998年発足し、今年25周年を迎えた。

(c)norikospitznagel 市内を流れるイザール側沿岸で涼を楽しむ
(c)norikospitznagel 市内を流れるイザール側沿岸で涼を楽しむ

(c)norikospitznagel イザール側沿岸サーフィン場は若者に大人気
(c)norikospitznagel イザール側沿岸サーフィン場は若者に大人気
(c)norikospitznagel イザール側沿岸で都会の喧騒を忘れる
(c)norikospitznagel イザール側沿岸で都会の喧騒を忘れる

ちなみにドイツ国内でもバイエルン州は一番人気の休暇地域。連邦統計局によれば、2012年同州を訪れたのは3100万人に上ると言う。そのうち、ドイツ人は77%、23%が国外からの訪問客だ。そして、ドイツを訪れる観光客総数1億5300万人(2012年・連邦統計局)の3割が若年層だという。

若者の旅行といえば、宿泊先によく利用されるのは) ユースホステル(ドイツ語・Jugendherberge/DHJ だろう。ご存知のようにユースホステルはドイツ生まれの宿泊施設。世界最初のユースホステルは、ドルトムンド近郊アルテナにある古城の一角に設けられた施設だ。

言うまでもなく、ユースホステルは青少年少女の旅を安全にかつ安価な宿泊場所を提供する。交通機関のアクセスも良い場所にあり、会員になれば若者だけでなく、家族連れにも気軽に泊まれる施設として人気も高い。

とはいっても、筆者は20年以上ドイツに住んでいるが、ユースホステルには一度も泊まったことがなかった。我が家の子供たちにユースホステルの様子を聞くと、その場所によって感想も様々だった。

子供たちが宿泊したユースホステルは、一部屋2人、4人、あるいは6人で、シャワーは共同、バスタオルは持参などが必須だった。荷物が多くなるのがいつもの課題だったが、宿泊費用が安価な分だけそれは仕方がないことだろうと思っていた。コーラスやオーケストラ、演劇や学校行事の練習をするために泊り込みで友達と一緒に過ごした時間は、子供たちにとって忘れられない思い出となっているようだ。

ミュンヘンにいくつかあるユースホステルの中で、今回はミュンヘンパークに宿泊した。ミュンヘン動物園まで徒歩で5分、市内にはUバーン(地下鉄)で10分と地の利も良い。興味深々部屋へ入ってみると、各部屋にシャワー・トイレ付き、ベットメイキング無料(つまりベットシーツや枕カバーを持っていく必要がない)というのも嬉しい驚きだった。部屋から見える中庭では、簡易遊園地で子供が遊んでいた。 

(c)norikospitznagel ミュンヘンパークユースホステルの部屋
(c)norikospitznagel ミュンヘンパークユースホステルの部屋

(c)norikospitznagel 暑い夜のビールは格別
(c)norikospitznagel 暑い夜のビールは格別

夕食後、ナイトスポットで時間を過ごしたあと、夜中1時ごろ帰路についた。ユースホステルに到着後、入り口のドアが閉まっていて、館内は真っ暗だった。一瞬、今夜はベットで眠れないのかもと不安がよぎったが、ホステルのドアを開けてくれた警備員の顔を見たときは正直ホットした。このホステルは24時間オープンだと知ったのは翌朝だった。これなら、門限を心配することなく、若者は自由に行動できるだろう。

(c)norikospitznagel 大都会の夜は長い。どこも若者で一杯だ
(c)norikospitznagel 大都会の夜は長い。どこも若者で一杯だ

朝食時に他の客とであった。夏休みの休暇をミュンヘンで過ごす家族連れが多かったが、海外からの若者もたくさん見られた。

最後にミュンヘンとは関係ないが、古城ホテルならぬ、古城ユースホステルを紹介したい。クリスマスマーケットで有名なニュルンベルクにある古城ユースホステルは、旧市街にある皇帝城カイザーブルクの旧厩舎だった建物を今年3月に全面リニューアルし、93室すべてシャワー・トイレ付きとなり、再開した宿泊施設。ユースホステルとはあまり縁のなかった筆者だが、ニュルンベルクへ行くチャンスがあれば是非泊まってみたい。

取材協力・ドイツ観光局

在独ジャーナリスト

ビジネス、社会・医療・教育・書籍業界・文化や旅をテーマに欧州の情報を発信中。TV 番組制作や独市場調査のリサーチ・コーディネート、展覧会や都市計画視察の企画及び通訳を手がける。ドイツ文化事典共著(丸善出版)国際ジャーナリスト連盟会員

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