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ジャーニーマンが新記録樹立へ。14チームでプレーした初の選手が誕生する

宇根夏樹ベースボール・ライター
エドウィン・ジャクソン/メジャーリーグ4登板目 Sep 27, 2003(写真:ロイター/アフロ)

 5月11日、金銭トレードにより、エドウィン・ジャクソンがオークランド・アスレティックスからトロント・ブルージェイズへ移籍した。

 昨年6月25日、ジャクソンはアスレティックスの投手としてマウンドに上がり、オクタビオ・ドーテルに続き、13チームで投げた史上2人目の選手となった。ちなみに、野手で最も多いのは、12チームのマット・ステアーズだ。ステアーズは他に、中日ドラゴンズでもプレーした。

 昨シーズンを終えてFAになったジャクソンは、4月11日にアスレティックスとマイナーリーグ契約を交わした。そして、マイナーリーグで3試合に先発したところでトレードされた。

 ブルージェイズでは、2人の先発投手が離脱している。マット・シューメイカーは4月末に左膝の手術を受け、今シーズンを終えた。クレイ・バックホルツは右肩を痛め、5月10日に故障者リストへ入った。再建中のブルージェイズは、今秋のポストシーズンをゴールとしているわけではないが、それでも先発投手は必要だ。昨シーズン、ジャクソンは17試合に先発して防御率3.33を記録した。

 数日中にも、ジャクソンは新記録を樹立する。5月14~15日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦か5月16~19日のシカゴ・ホワイトソックス戦、この2カードのどこかで先発するに違いない。現時点では、5月15日が有力だろう。

 実は、ジャクソンがブルージェイズに在籍するのは、これが2度目だ。けれども、8年前の在籍時は、傘下のマイナーリーグでも投げていない。それもそのはず。ジャクソンは1日に2度トレードされた。2011年7月27日に、ホワイトソックスからブルージェイズ、ブルージェイズからセントルイス・カーディナルスへ移った。

 後者のトレードでは、ジャクソンとともにドーテルも移籍した。ジャクソンのメジャーデビューは2003年、ドーテルのラストイヤーは2013年なので、11シーズンが重なっているものの、2人がチームメイトとして過ごしたのはこの時だけだ。ただ、カーディナルスでは、ポストシーズンも含め、ジャクソンの17登板中11試合でドーテルも投げ、どちらにとっても初のワールドシリーズ優勝を味わった。

筆者作成
筆者作成

 ドーテルは39歳まで投げた。ジャクソンは現在35歳だ。プレーするチームの数は、まだ増える可能性もある。ここから好投すれば、今夏に再び移籍し――ブルージェイズは放出を厭わないだろう――その数を15チームとしてもおかしくない。また、ドーテルと同じく、ジャクソンのワールドシリーズ優勝も2011年の1度きりだが、こちらもさらに増えるかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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