神奈川県庁HDD情報漏洩、トップページに記載される
KNNポール神田です。
【追記:2019年12月9日(月)09:30 現在】神奈川県庁のトップページに、『県のデータが入ったハードディスクの盗難について』の項目が表記された。『2019年の重大ニュース』はトップから降ろされた。
神奈川県庁の情報漏洩問題のニュースを見れば見るほど気になることばかりだ…。
神奈川県庁のウェブサイトでは、2019年の重大ニュースをあなたが選んでくださいとある…。まじか?
神奈川県庁で文書大量流出 ハードディスク持ち出した男逮捕
容疑者が勤めていた会社では、3年前から犯行が行われていたというから、ずさんな管理体制であったことは容易に想像がつく。しかも、中のデータの存在すら知ることなく、くりかえされていたようだ。オークションで落札したA氏が『復元ソフト』で復元したところ納税などに関する個人情報を含むファイルを見つけたという。
当然、新たにリユース目的での落札だから復元ソフトや初期化ソフトでハードディスクの状況を確認するのは当たり前の行為だと言える。
■神奈川県庁→富士通リース→ブロードリンク→オークションサイト→落札者A氏の流れ
この、朝日新聞の図解からみると流れは非常に明確だ。初期化はすれど、完全なるデータを破壊すべきところは、ブローロリンクの担当社員がおこなうはずが、その当該社員が小遣い稼ぎにオークション出品できる環境にあったわけだ。
■すべては、当事者意識の問題ではないだろうか?
当然、この神奈川県庁のリースでサーバーを運用することに関しては、まったく問題がない。県でサーバを購入して管理するよりもリースで運用したほうが効率が良いからだ。しかし、それはハード面での運用だ。ソフト面やサービス面での運用はサーバー管理者側に責任がある。
県庁の一職員らは、サーバーの内部のデータなどを消去などできないので、まずは、神奈川県庁のサーバー管理者の当事者意識が非常に問題となるだろう。リース機関が終わった重要なデータは、単なる初期化だけでよかったのだろうか?データ復元ソフトなどで復元できないように、二重、三重に渡る上書きや初期化は、サーバー管理者であれば問題なくできる作業であったはずだ。
そこにあるのは、『富士通リース』という専門業者の存在だろう。富士通リースのサイトでもトップページで、この状況を報告している。
■「企業PC買取 No.1」のブロードリンクのウェブサイトでは…
とある。
■当事者意識のまったくない自虐ネタの神奈川県庁のウェブサイト
しかし、神奈川県庁のサイトでは今回の情報漏洩をどう認識しているのかと思い、ウェブサイトを確認してみた。
なんと、一番目立つところに、『2019年重大ニュース、あなたが選んでください』…とある。いや、これはタイミングが悪すぎる…まさに、この今回の情報漏洩が重大ニュースだろう…。まさに自虐ネタとなっていることに、県庁職員は気にならないのだろか?
この重大ニュースの企画はすぐに取り下げるべきだろう。不安がる神奈川県民の気持ちを、まったく無視しているとしか思えない。神奈川県庁のサーバー管理のルール上に問題があったことをまったく認識していないのと同等だ。
企業でもウェブサイトの運用と広報が一致しない場合も多々あるが、このようなインシデントに直面した時に、ウェブサイトが何よりも、重要な広報ツールなのだ。それが機能できないウェブサイトであれば運用する意味は一体どこにあるのだろうか?
むしろ、このハードディスクの情報漏えい事件はトップページで、しっかりと顛末と現状と今後の対応をお知らせする案内を掲示しなければならない。該当のページは、記者発表の項目で見ることができる。遺憾の意よりも、まずは県民への謝罪だ。
自分の仕事を全うするのが、公務員の仕事だが、民間であれば、会社のブランドについても全社員がコミットメントする。…であれば、この県庁の『重大ニュース募集』の企画はすぐに取り下げたいと思って不思議でない。しかし、土日でお休みだから月曜日以降なのか…。民間の会社ならば、土日で、潰れてもおかしくないインシデントである。
■神奈川県庁発表『リース契約満了により返却したハードディスクの盗難について』
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/fz7/prs/r0273317.html
これらのリリースにおいて、情報漏洩した部分には一切明記がなされていないのも気になる。納税データが漏洩しているにもかかわらずだ。さらに、記者会見の発表では『県庁の重要なデータ』も含まれると明言されている。残りの8台のハードディスクも気になるが、警察の捜査があればオークションサイト側が協力し、落札者への確認が取られることで時間の問題ではないだろうか?
■これは、神奈川県庁だけの問題ではないのかもしれない…
防衛省もブロードリンクと契約があり、富士通リースとの契約ともなると、埼玉県、千葉県、茨城県もある。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191206/k10012204361000.html
■もしも、オークションの落札者A氏が善意の人でなかったら…?
今回の事件は、落札者のA氏が、回復ソフトでデータを発見し、仲介人を通じて、神奈川県庁に問い合わせたことによって判明した事件である。もしも、オークションの落札者のA氏が善意の人でなかったとしたらどうなったのだろう。神奈川県からは発表されていないが、納税リスト名簿という、個人の収入がすべて明らかになってしまう重要なリストを大量に保持できてしまっているのだ。闇社会へ高値で売買されていてもちっともおかしくないだろう。A氏の心がダークサイドにあれば、一財産築いていしまっていたかもしれない。そして、何よりも神奈川県の人々は、自分の情報がどうやって漏洩しているのかも気づかないままだったのだ。
神奈川県庁の職員は、神奈川県庁のサーバー管理者が。
神奈川県庁のサーバー管理者は、富士通リースが。
富士通リースは、ブロードリンクが。
ブロードリンクは、担当男性社員が。
担当男性社員は、ハードディスクをオークションで転売しただけ。
落札者A氏は、オークションで落札しただけで…では、終わらなかったから今日になっている。
落札者A氏に感謝したい。
今回の事件は、誰かに引き継ぐ前に、セキュリティの当事者感覚があれば防げた事故として認識しなければならない。まずは、初期化は上書きを重ねて、最低2回以上おこなってから廃棄を委ねるべきだ。
内閣府サーバの『さくらを見る会』のリスト並の復旧できない弁論で固めたセキュリティ対策を見習いたいほどだ
□安倍首相の『シンクライアント』方式だから『データ復元不可能』は問題発言だ!
https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20191203-00153460/