炙って尚香ばしい宿場町の名物「安永餅」粒餡溢れる200年以上の歴史の中で愛された三重県桑名市の銘菓
全国にはどんな和菓子があるのかなと探す時、私にはいくつか基準といいますが目安にしていることがあります。その中の一つが、宿場町。古より沢山の人たちが体を休め、美食や場合によっては秘湯に癒された場所には、旅人をもてなし、お土産としても活躍した名物がなにかしらあります。
宿場町といえば、東海道五十三次。歌川広重の浮世絵でもお馴染みの東海道五十三次の宿場町ですが、そのうちの7つが三重県に集積しています。そしてそのエリアは餅街道と呼ばれ、伊勢神宮への参拝客をねぎらうためというのもあり、体力を回復するにはぴったりの餅菓子文化が栄えたといわれています。
さて、その中のひとつが三重県桑名市。起点の日本橋から数えて42番目の宿場町にも、日々の疲れを癒してくれるような名物があるのです。桑名市では現在二店舗が製造販売なさっていますが、その中のひとつ「安永餅本舗 柏屋」さんの「安永餅」をご紹介。
細長い形状のお餅は、最初だけ機械を使用しあとは殆ど人の手で搗き上げるのだとか。通年販売されるものですから、その時の気温や湿度、糯米の状態などの見極めは長年安永餅と向き合ってきた職人さんでなくてはなりません。
柏屋さんの安永餅の特徴は、ややスリムな容姿とまだらな焼き目。ひとつひとつ全て手作業で包餡、成型、焼き上げをなさるので実に表情豊か。香りもたまりません。
さて、このままシコシコとした食感でいただくのも美味しいのですが、やはり若干固くなっております。
そこで!!私はオイル不要のトースターで一度炙ることをおすすめいたします!あらかじめ余熱をしておいたトースターで2分程。途中でひっくり返す余裕があればぜひ。
溶けだした糖蜜が糸を引き、その香ばしさはより一層立体感を増しで鼻腔を満たしてくれます。中の粒餡はきらきらと煌めき、指先で支えないと溢れてしまいそうな程。
焦げ目の部分はかりっと、お餅の部分はふんわり、そして伸びを取り戻し三つの食感を一口で満喫。噛みしめる程に旨味と香ばしさが口の中全体に広がり、素朴な小豆の風味も心地よい余韻に。お茶屋さんでいただいたら、お尻に根が生えてしまいそうですね。
創業は江戸中期といわれており、だいたい1700年代中頃。仮に中間の1750年頃だとしても、270年以上もの歴史を刻み続けているということになります。当時は長旅の疲れを、そして令和の今は育児や仕事の疲れを和らげてくれる存在。
本店は三重県桑名市ですが、今回はたまたま都内のアンテナショップ「三重テラス」さんにて購入することができました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
柳谷ナオ
<安永餅本舗 柏屋>
三重県桑名市中央町1-74
0594-22-1197
8時~19時
<三重テラス>
公式サイト(外部リンク)
東京都中央区日本橋室町2-4-1
YUITO ANNEX 1F
03-5542-1033
10時~20時