【お金の専門家に聞きました】貯金ゼロ、年収150万円でも温泉旅行はできる? 「1割の浪費はOK!」
物価上昇が続く中、「旅行は控えたほうがいいかな」と思っている人が少なくありません。しかし、温泉旅行をはじめ、旅は人生に潤いを与えてくれるもの。
そこで、旅費を工面するためのコツをお金の専門家である田口智隆さんにお聞きしました。
――田口さんは、28歳のときに自己破産寸前まで膨らんだ借金を徹底した節約と資産運用によりわずか2年で完済。34歳のときにお金に不自由しない状態「お金のストレスフリー」を実現し、現在はお金に関する著作を多数出版されています。
田口:昨年末に新刊『貯金ゼロ、年収150万円からのお金の教科書』(外部リンク)を出版しました。
――率直に言って、年収150万円でも旅行には行けますか?
田口:この年収だと贅沢な旅行はできませんが、家計を見直せば可能ですよ。僕はお金が貯まらないという人には、毎月の支出の内訳を次の割合でキープすることをおすすめしています。
①消費:70%
②浪費:10%
③積立(貯金):20%
――浪費をしてもいいんですか?
田口:今は物価高が続いているので、消費が増えて、貯金がしづらくなっているかもしれません。でも、浪費をゼロにするのも現実的ではありません。余白のない生活は息苦しいものです。10%くらいは「浪費」するくらいで、バランスがとれると思います。年収300万円の世帯なら、ざっくりいうと月2万円くらいは浪費にまわしてもいいでしょう。
――その10%を旅行にまわすこともできますね。
田口:僕は城や寺社仏閣をめぐるのが好きで全国を旅していますが、やはり旅は人生を豊かにしてくれるものだと思います。
――では、旅行費を捻出するためにはどうすればいいですか。
田口:ひとつめは、お金の使い道を見える化すること。具体的には「お金のノート」をつくり、書いて記録するのです。やはり、目に見える形にしないと、いかに浪費をしているかを認識できませんから。
――家計簿は続かないという話をよく耳にしますが……
田口:お金のノートはかんたんです。まず日付を書き入れ、その下に、その日に買った品物と金額を記入していきます。そして、最後に1日に使った合計金額も書いておきます。これを毎日続けるだけ。「食費」「外食費」「住居費」といった面倒な仕訳にはこだわらないので、家計簿の簡易版といったイメージです。スマホアプリを使ってもOKです。
――それなら無理なくできそうですね。
田口:1カ月間、「お金のノート」をつけていくと、おおよその支出額を把握できます。実際、「お金のノート」をつけはじめた人は、「こんなに無駄遣いしていたとは思わなかった!」と気づきを得て、賢いお金の使い方を学んでいきます。
――ほかに旅行費を捻出する方法はありますか?
田口:手っ取り早いのは、固定費を削減すること。固定費は家賃などと同じで、毎月決まって出ていく金額ですから、家計の中でも大きな割合を占めます。だからこそ、いったん低く抑えることができれば、その節約効果は大きくなります。
――どの固定費を削ればいいですか?
田口:代表的なのは、スマホなどの通信費です。大手キャリアの割安プランに乗り換えていない人は、まずはそこから始めるといいでしょう。格安でも機能面で劣るような点はほぼありませんから。
――今は「全国旅行支援」(20%オフ)も利用できますよね。
田口:僕も利用しましたが、すごく割安ですよね。クーポンでお土産も買えて、食事もできる。旅行に行くなら使わない手はありません。宿泊だけでなく日帰り旅行にも適用されますから、資金にあまり余裕がない人は、日帰りのバスツアーなどもいいですよね。ぜひこのようなお得な制度を賢く利用して旅を楽しんでください。
田口智隆
株式会社ファイナンシャルインディペンデンス 代表取締役
2009年に出版した処女作『28歳貯金ゼロから考えるお金のこと』が5万部を超えるベストセラーに。同年から日本各地でスタートした「学校では教えてくれないお金の授業」の講演は1000回以上を数え、受講者は述べ5万人を超える。新刊は『貯金ゼロ、年収150万円からのお金の教科書』。