太陽系全体を「ダークマターストリーム」が通過中!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「太陽系全体を覆うダークマターの嵐」というテーマで動画をお送りしていきます。
ダークマターとは?
まずは今回のテーマをよりよく理解するために、ダークマターとは何なのかを軽くおさらいしていきます。
私達の太陽系も、地球の夜空に輝く肉眼で見える恒星全ても、天の川銀河の中に属しています。
天の川銀河は2500億個もの恒星が集まった恒星の大集団です。
こんな恒星の大集団である銀河は、観測可能な宇宙の中に実に数兆個単位であると言われています!
宇宙を語る上で銀河は絶対に欠かせない主要な構成要因です。
ダークマターは、そんな銀河と深くかかわりがあります。
銀河は、実はそもそもなぜ存在できるのかわかっていません。
銀河の星々は銀河核の周囲を公転していますが、その回転速度が明らかに速すぎるんですね。
目に見える物質の質量から重力を計算すると、今の回転速度では銀河の形状を維持できず吹っ飛んでしまいます。
そして、銀河と銀河の相互作用においても、目に見える物質では説明できない強い重力が働いているように見受けられるそうです。
そこで出てきた考え方が、「ダークマター」というものです。
ダークマターは「知覚できないが質量は持つ物質」のことで、人類が存在を知覚できる通常の物質の5-6倍程度の質量を持っていると考えると、先述の銀河の回転速度や、銀河同士の運動の謎が説明できるそうです。
このようにダークマターは銀河の構造や運動の謎を上手く説明するつじつま合わせのために考えられた仮説上の物質ですが、観測技術が進歩した今、ダークマターの存在を疑う科学者は少数派でしょう。
ダークマターの嵐
では今回の本題に入ります。
現在、星や銀河の構造をより深く理解するために、天の川銀河内にある実に10億個もの星の正確な位置と速度を測定して理解することを目標とした、「ガイア計画」という計画が行われています。
このガイア計画によって無数の星々の位置と移動速度を観測していたところ、まとまった数の星々の集団がある一定方向に向かって流れているのが発見されました。
実はこの流れは、過去に巨大な天の川銀河と衝突して形が崩されてしまった小さな銀河を構成していた星々の集団であると考えられています!
元々別の銀河の一員だった恒星の集団は、最初から天の川銀河の一員だった他の恒星たちとは異なった動きをしているというわけですね。
このような流れが、天の川銀河の中だけでも数十個単位で観測されているようです。
そしてこれらの流れを構成しているのは、恒星だけではありません。
元の矮小銀河は星だけでなくガスや塵、そしてダークマターも含んでいたと考えられるので、それ等も観測された星と一緒に流れていると考えられます。
つまりは大量のダークマターの流れ(ダークマターの嵐)も天の川銀河内のあちこちで起きている可能性が指摘されている、というわけですね!
太陽系にもダークマターの嵐が!?
そしてなんと、私たちの住む太陽系もまさにこの過去に別の矮小銀河の一員だった星やガス、そしてダークマターの嵐の真っただ中にいることが判明しました!
なんとこの流れは太陽系の全体をすっぽりと覆ってしまっているそうです!
この太陽系全体を覆う流れは特に、「S1ストリーム」と呼ばれています。
このS1ストリームはその流れが銀河面に沿っている上、太陽の銀河に対する公転方向と逆方向に移動しているため、太陽系にぶつかりやすい特徴があります。
S1ストリームには実に約3万個もの星が含まれていて、なんと秒速500kmというとてつもない速度で太陽系を通過していると考えられているんですね!
つまりは今この瞬間もS1ストリームの中に大量に存在しているはずのダークマターの嵐に、私たちはぶつかり続けていると考えられるわけですね。
ちなみに比較として、地球の脱出速度が約11km/s、太陽系の外側に向けて直進しているボイジャー1号の移動速度でも約17km/sです。いかに500km/sという速度が桁違いに速いのかがわかりますね。
ですがS1ストリームは過去も未来も何百万年もの間太陽系を覆い続けると考えられているのにもかかわらず、私たちがダークマターの正体を知らないために、私たちにはそれが日常に何の変化も与えていないように思えてしまいます。
ですが一方で、このS1ストリームが通過していることで、いくつかの検出装置でダークマターの検出確率が上がる可能性があるという計算結果も出ているそうです。
そしてS1ストリームを構成するダークマターを検出することができれば、そこから逆に天の川銀河に衝突した矮小銀河の性質の理解が深まるかもしれません。
そんな状況もあり、今この瞬間も世界中の科学者たちがS1ストリームの影響を研究し、私たちの身近にあるはずのダークマターの正体を解明するために努力し続けてくれているわけですね!