「スーパーシベリア高気圧」出現で、凍える北東アジア
肌寒、うそ寒、漸寒(ややさむ)―。これらは秋の季語ですが、本格的な冬の寒さが日本に到来する今週、なにか物足りない表現となってしまいそうです。
その寒気は、週末からモンゴルや中国北部を覆っていて、記録的な豪雪や寒さをもたらしています。
豪雪・厳寒の北東アジア
中国北西部の新疆ウイグル自治区アルタイでは、先週50時間も雪が降り止まず、11月の記録となる110センチの雪を観測しました。また、世界で二番目に寒い首都とされるカザフスタンのアスタナでは、週末気温がマイナス32℃まで下がり、首都機能が麻痺したと伝えられています。
今朝(21日)は、世界一、極寒の首都と言われるモンゴルのウランバートルで気温がマイナス39℃まで下がり、平年よりも20℃も寒い朝となった他、中国・北京でも氷点下まで冷え込み、今季初となる雪が降りました。
この寒さの原因は何でしょうか。
1071hPaのスーパーシベリア高気圧
この時期、北東アジアに寒さをもたらすのが、シベリアに中心を持つ巨大な高気圧です。冷えた大地が作り出した、重たく寒冷な空気が地表に溜まって、気圧が高くなることで発生します。空気は冷たくなればなるほど密度が高くなって地面を押すので、一般的に寒くなればなるほど気圧が高くなります。最も寒くなる時期の中心気圧は、およそ1040hPaです。
しかし、今朝の気圧はその値をゆうに上回っていました。韓国気象庁が今朝発表した天気図を見ると、1071hPaとなっています。まさに「スーパーシベリア高気圧」とでも名付けましょうか。
ちなみに、現在の世界最高気圧は1089hPa(※)です。ただ、この記録は12月30日のものであるため、今回の気圧は11月としては記録的と言えそうです。
都内でも雪?
真冬並みの寒気は、週の後半にかけて朝鮮半島や日本列島に広がり影響を及ぼしそうです。今週24日(木)の朝には東京都心でも、雪かみぞれが降る可能性が出ていて、そうなれば、11月としては54年ぶりのこととなります。
急な「厳寒」の訪れで体を崩さぬよう、お気を付け下さい。
※1089hPaは、2004年12月30日にモンゴルで観測された気圧846hPaを海面気圧に補正した値です。