「新仕分け」 ネットで白熱。オープンガバメントの取り組みを潰すな。
行政刷新会議の「新仕分け」が始まった(18日まで)。
衆議院が解散したため、これが現内閣では「ラスト仕分け」だ。
今回の仕分けの特色は、傍聴をネット中継に限ったことと、議論に対するツイッター上の意見や「判定」を会場にフィードバックしたことだ。この試みは画期的だった。
ネット視聴者は中継を行ったユーストリームとニコニコ生放送の両方を合わせると約15万人。またツイッター上では、蓮舫参議院議員を始め多くの人が参加し、仕分けの議論やレビューシートの記載内容について、白熱した議論が行われた。コメント総数は1000件以上にのぼった。
さらに、それらのコメントが会場の中で津田大介氏や速水健朗氏によって紹介され、昼休みの時間には両氏が政治におけるインターネットやツイッターの活用方法を議論した。具体的な事業や予算について国民と政治家が直接、双方向でのやり取りを行うことの世界初とも言える実験が行われた。
16日の議論対象は震災復興関連事業だったが、ツイッターでのコメントも開会式、一事業目、二事業目と進むにつれて、内容の濃いものとなっていった。さらに、会場での議論の材料であるレビューシート(国の事業ごとの説明資料)を引用したツイートも多く登場した。また、ツイッター上でアンケートをとったところ、仕分け会場での結論(仕分け結果 ―「廃止」「大幅に見直し」など)とかなり共通するものになったことも注目される。
「新しいオープンガバメントの実践という政治文化は浸透、定着させないといけない。」
会場を視察した野田総理大臣も、記者団に対してこう強調した。
今回を含めて6回の仕分けの最大の成果は「仕分けのしくみ」が政治、行政の中に定着しつつあることだ。
ニコニコ生放送が行ったアンケートでは、16日の仕分けを視聴した国民の8割近くがこのようなオープンガバメントの取り組みの意義を認めている。
このようなオープンガバメントに向けた動きと、その「しくみ」(レビューシートの公表や仕分けの議論など)が混乱する政局の中で潰されることのないよう、私たちはよく見張ってないといけない。
日本の政治の混迷に終止符を打つには、国民が政治の主役となって「動く」しかないし、また「動ける」道具を手に入れたのだ。
そういう意味で、奇しくも衆議院の解散と重なった「ラスト仕分け」初日は「オープンガバメント」スタートの日という記念すべき日となったと感じた。