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約2か月ぶりの台風発生!台風3号は沖縄直撃か…暖湿気流入で本州付近も雷雨に注意続く:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
台風情報(気象庁HPを元に作成)。台風3号は発達しながら北上し先島諸島へ。

20日15時、台風3号が発生しました。
5月末に台風2号が発生してから実に2か月近くも空白があり、3号としては統計史上6番目に遅い記録です。
今後は発達しながら北上し、沖縄の先島諸島付近を通過した後の進路はまだ予報にブレがありますが、本州付近へUターンするように曲がってくるおそれはあるのでしょうか。

「強い」勢力で直撃のおそれ

台風3号の予報円(気象庁HPを元に作成)。最新の情報は必ず気象庁HPで確認を。
台風3号の予報円(気象庁HPを元に作成)。最新の情報は必ず気象庁HPで確認を。

台風3号は現在、大型の台風で、今後24日(水)には「強い」勢力にまで発達する見通しです。そしてタイミングの悪いことに、その24日(水)頃に沖縄の先島諸島に最も接近する予想となっています。
台風が予報円の東側を通った場合は沖縄本島地方を直撃するおそれもあるほか、たとえ予報円の中心を通ったとしても台風の風が強まりやすい進行方向右側に入ることになりそうです。

24日(水)に予想されている中心付近の最大風速は50m/sで、これは看板が落下したり走行中のトラックが横転するような強さ。台風に慣れている地域とはいえ、十分な警戒が必要です。しかも大型の台風なので、影響を受ける期間は長引きます。

なお、記事冒頭の画像で台風3号のさらに西にある熱帯低気圧aについては、21日夜までに台風となる予想ですが(※追記︰21日12時に台風4号になりました)、その後23日(火)には熱帯低気圧に変わる見込みで、台風として日本への影響はなさそうです。

九州~関東は雷雨に注意

21日(左)朝、(中)昼過ぎ、(夜)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。
21日(左)朝、(中)昼過ぎ、(夜)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。

21日も九州~関東では夕方から夜を中心に、急な雨や雷のおそれがあります。
前日20日は都心などで滝のような雨と多数の落雷があり、都内では花火大会が直前に中止されたところもありました。21日は20日と比べるとやや雷の発生確率は下がりますが、それでも注意が必要です。

また新潟~東北付近では前線が近づいて午後から雨、北海道も天気は下り坂でしょう。

本州付近に台風がUターンするおそれは?

台風の進路を思い浮かべるとき、だいたい沖縄付近まで北上してきたあと右折するかのように東へ方向転換して本州付近に向かってくるコースが脳裏に浮かぶ人が多いのではないでしょうか。
これは、偏西風という、日本付近を西から東へ流れている風に乗って台風が東へ進むためです。

ところが今回、偏西風はかなり北、北海道くらいの緯度帯を吹いています。そのため、このまま行くと台風は本州を通り越すくらい北上してから右折(正確には「転向」)して北海道に…というおそれもあるのですが、そもそも転向前後の予報はかなり変わりやすいので、今議論することにあまり意味はありません。

目先、本州付近で命に関わるのは猛暑であり、北海道ではまるで「蝦夷梅雨」のような長雨に注意が必要です。

連続猛暑日に備えを

週間予報(気象庁HPを元に作成)。
週間予報(気象庁HPを元に作成)。

このさきしばらく、九州~関東では35度以上の猛暑日が広範囲で持続する見通し。台風が複数発生するくらい暖かく湿った空気が南の海上から流れ込むわけですから、かなり体にこたえる蒸し暑さになりそうです。
外を移動する時間をできる限り短くできるようなスケジュール調整を事前に考えておいてください。
また沖縄でも台風の雨が降り出す直前までは、記録的と言えるような猛暑が続くでしょう。

なお、まだ梅雨明けしていない北陸や東北南部などもそろそろ平年の梅雨明け時期を迎えますが、20日の時点で不明瞭だった梅雨前線が21日以降また東北付近にかかる予想で、梅雨明けはもう少しかかりそうです。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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