【河内長野市】中世に出逢えるまち河内長野の新名物!真言宗3住職が発案の薬膳精進カレーを食べてみました
先日、観心寺KU-RIさんに精進料理を食べに行きました。その時にお土産品として置いていた薬膳精進のレトルトカレーがとても気になり、それを買って帰ってその日の夜に頂きました。
さて食べてみた感想ですが、精進カレーなので肉は入っていません。ただしカレーのルーが濃厚のため、味がしっかりしていて、肉が入っていないことへの物足りなさがまったくありませんでした。
さらに中に入っているショウガのみじん切りされた粒粒の食感が良いアクセントになっていて、口の中がさわやかになった感じ。食べ進めても飽きが来ることなく、最後まで美味しくいただきました。
さて本来ならこの薬膳精進レトルトカレーの味についての記事だけで書こうと思っていたのですが、このレトルトカレーを調べると、観心寺KU-RIさんのお店としてのお土産では無く、もっと広い範囲の河内長野の観光のお土産であることがわかりました。
そこで、薬膳精進カレーのレトルトはどういう経緯で作られることになったのか、河内長野市産業観光課の担当の方にお話をお伺いすることになりました。
河内長野はご存じの通り、3つの日本遺産、「中世に出逢えるまち」「女人高野」「葛城修験」に登録・指定されていますが、今回はこの中でも「中世に出逢えるまち」に関してです。
担当者の方の話では「中世に出逢えるまち」とひとくちに言っても、歴史ファンなどの一部の人を覗いて「ちょっとイメージが湧きにくい」という印象があったそうです。
そこでもっと親しんでもらえる方法として、ご当地グルメのような河内長野のお土産を新たに考えてみようとなったそうです。
そこで、昨年5月に、島田市長と河内長野市内にある真言宗の有名3寺院「観心寺、天野山金剛寺、延命寺」の住職と間で座談会が行われました。
その内容は、6月号の広報かわちながので紹介されていますが、そのなかで金剛寺の堀住職が「精進カレーはどうだろう」という話を提案。そこで、実際に精進カレーを作ることになったのです。
ではどこでこの精進カレーを作ろうかとなったときに、観心寺の境内で精進料理のレストランを運営している観心寺KU-RIさんが担当することになったのは自然の流れのようでした。
しかし、ここからが大変だったといいます。観心寺KU-RIの永島さんの話では、
といいます。
次に問題となった点は、カレーではほぼ必修とされる食材の一部が精進料理には使えないのです。
これも永島さんを苦しめました。肉は精進料理だから使えないのはわかりますが、本来植物であるはずの玉ねぎとにんにくは、辛味や臭気の強い野菜として仏教的に使用不可なのです。
これは五辛(ごしん)あるいは五葷(ごくん)と呼ばれるもので、世界的には「オリエンタルベジタリアン」と呼ばれるものです。
ちなみに五辛は、玉ねぎとにんにくのほかには、ネギ、ラッキョウ、ニラが該当します。
そこで、代わりに食材として考えられたのがショウガだったのです。
こうしてショウガを使った精進カレーを開発することになりました。とはいえショウガも、試作の段階で既にすりつぶしたものでは食感が弱く、精進カレーらしさが出なかったそうです。
とはいえ、生のショウガみじん切りにしたものをそのままレトルトの商品には使えないとのこと。加熱殺菌をしたショウガを使う必要があったのです。
観心寺KU-RIの永島さんはこのように述べていて、レシピ開発には相当苦労されたそうです。
一例として河内長野のお土産だからと、河内長野で採れる果物を入れたらという意見があったそうですが、いざレトルトで作るとなると使用量の確保や配送の容器などの問題で制約が多く、断念せざるを得ませんでした。
レトルト食品を作ることの難しさを感じつつも、試行錯誤を重ね、レトルト製造の工場、ベル食品さんに対して特別に支給したショウガを味のポイントとして作られた薬膳精進カレー。約3か月の試行錯誤の後、9月にようやく試作品が完成します。
パッケージ裏の原材料を見てみると、なんと味噌や醤油といった、日本人のソウルフードというべき調味料が入っています!
これに、じゃがいも・人参・かぼちゃといった野菜の旨み、トマト・バナナ・りんごといったフルーツの酸味と甘さ、マッシュルームや昆布の出汁的旨みとあわさって、独自の味わい深い精進カレーができあがったのですね。
こうして9月29日に試食が行われた後、製品化に着手。翌1月20日には、日本遺産の商品お披露目会を開催し、関係者約10名が参加して、薬膳精進カレーを試食をしたうえで、ようやく販売にこぎつけたのです。
こうして観心寺KU-RI監修 歴史と生姜が香る 薬膳精進カレーは、販売元を河内長野市商店連合会として商品化、販売が開始されました。
現在、薬膳精進カレーを販売しているのは、観心寺KU-RIさん、天野山金剛寺、河内長野駅前の観光案内所、道の駅奥河内くろまろの郷をはじめ、風の湯、関西サイクルスポーツセンターなど数多くの場所で取り扱っています。
面白いのは「薬膳」という観点から漢方のサカグチ薬局さんでも取り扱っているとのこと。
薬膳精進カレーを扱っているお店は常に増えているそうなので、最新の取扱店情報はこちら(外部リンク)のページをご覧ください。
さて、薬膳精進カレーの食べ方として、楠公めし(飯)と合わせることを勧めています。
楠公飯の詳細はリンク先でも紹介しましたが、観心寺と楠木正成のつながりの深さから観心寺KU-RIさんでも楠公飯(なんこうめし)を作って紹介しています。
また、長野商店街にある椿屋さんでは「楠公飯トルティーヤ」というアレンジ料理を開発したそうです。実際に玄米は栄養価が高く食物繊維も多いので、それが食べやすく調理された楠公飯の新しい食べ方が増えるのは本当に良いことですね。
なお、私が味見した時もそうでしたが、もちろん通常の白米で食べてもおいしいのでご安心ください。
なお、産業観光課の担当者の方のお話では、カレーと同時に日本遺産のお土産として開発した天野酒さんの甘酒おかしもぜひにとのこと。
通常の甘酒のお菓子には米麹を使うそうなのですが、こちら天野酒さんでは実際の醸造で出てくる吟醸の酒粕を原料にしているそうです。もちろんおかしの製造工程でアルコールはなくなるので、未成年も安心して食べられるとのこと。
実際に味わってみましたが、口に含むと酒粕の香りが口の中を覆い、サクサク食べられます。噛まなくても口の中でとろける柔らかいお菓子です。
天野酒さんの「甘酒おかし」を市民の皆さんに試食してもらった時に、美味しさにはまってしまい、手のひらいっぱいに載せてほうばっていたお子様もいたそうです。
さて、この時期の観心寺さんは、1年で最も大事な2日間を迎えます。それは秘仏として伝えられている本尊の如意輪観音像が御開帳されるからです。今年も、明日4月17日と18日の2日間で、受付が9:30~16:00、特別拝観料:1000円御開帳されるとのこと。
この御開帳に合わせて、観心寺境内では、観心寺KU-RIさんが、楠公飯と合わせたオリジナルカレーを1000円で販売するそうです。こちらも楽しみ!レトルトのカレーとの違いを確認してもいいですね。
というわけで「中世に出逢えるまち」こと奥河内・河内長野の新しい名物、薬膳精進カレーを紹介しました。いろいろ経緯などを書きましたが、普通にレトルトカレーとしてもおいしく、肉が入っていない分ヘルシーです。
ちなみにこの時はゆで卵や海老の天ぷら、観心寺KU-RIさんがお店で販売している人参ドレッシングをかけたサラダと合わせましたが、このようにいろいろな料理と合わせて味わっても、なかなか良かったです。
創作精進料理 観心寺庫裏「KU-RI」(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市寺元475
電話番号:050-3746-8600
営業日:月・火・水曜日(それ以外は団体の貸切予約日)
営業時間:11:30~15:00(1日限定20食:完全予約制)
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 観心寺バス停から徒歩3分
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