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パドレスがこの先発投手とマイナーリーグ契約を交わしたのは、大物FAを手に入れる予兆!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
フリオ・テラーン Mar 22, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、サンディエゴ・パドレスでは、5人の投手がそれぞれ20試合以上の先発マウンドに上がった。ダルビッシュ有ジョー・マスグローブが各30登板、ショーン・マネイアが28登板(とリリーフ2登板)、ブレイク・スネルが24登板、マイク・クレベンジャーは22登板(とリリーフ1登板)だ。

 彼らのうち、マネイアとクレベンジャーの2人は、シーズン終了後にFAとなった。MLB.comのジョン・モロシによると、クレベンジャーは、シカゴ・ホワイトソックスから1年800万ドル以上の契約を得たという。

 一方、パドレスは、選手オプションを破棄したニック・マルティネスを3年2600万ドルの契約で呼び戻し、フリオ・テラーンとマイナーリーグ契約を交わした。後者の契約は、ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンが報じている。メジャーリーグに昇格した場合、年俸は600万ドルになるという。マルティネスの前契約については「ニック・マルティネスが破棄した選手オプションは650万ドルだが、手放した総額は1800万ドル」で書いた。

 マルティネスは、今シーズンの開幕を先発投手として迎えた。最初の12登板中10登板は先発マウンドに立ち、その後はブルペンから登板した。テラーンは、今シーズンこそ独立リーグとメキシカン・リーグで投げたが、その前の11シーズンはメジャーリーグで投げている。2013~19年は7シーズン続けて規定投球回をクリアし、そのうちの5シーズンは防御率3.95未満を記録した。マルティネスもテラーンも、来シーズンの年齢は32歳だ。

 現時点のメンバーでローテーションを構成するなら、ダルビッシュ、マスグローブ、スネルのトップ3に、4番手と5番手は、マルティネス、2月に24歳となるエイドリアン・モアホン、テラーンの3人中2人だろう。ちなみに、マッケンジー・ゴアは、ホアン・ソトらを獲得した今夏のトレードで、交換要員の一人としてワシントン・ナショナルズへ移籍した。

 5番手の1枠だけならともかく、4番手と5番手の2枠がマルティネスら3人の誰かでは、心許ない気がする。ここからも、パドレスは、先発投手を手に入れようとするはずだ。そのターゲットは、単なる4番手にとどまらず、ダルビッシュらとともにトップ4を形成できる投手ではないだろうか。ある程度の金額を費やし、4番手クラスの投手を加えるのではなく、テラーンとマイナーリーグ契約を交わしたことも、この方向性を示唆しているように思える。

 ダルビッシュとスネルは、来シーズンが終わるとFAになるので、今後数年にわたってマスグローブ――8月に5年1億ドル(2023~27年)の延長契約を交わした――とともに投げられる投手が望ましい。カルロス・ロドーン千賀滉大であれば、この条件に合う。マスグローブ、ロドーン、千賀の3人とも、来シーズンの年齢(6月30日時点)は30歳だ。ジ・アスレティックのデニス・リンらによると、パドレスは、すでに千賀と面談を行ったという。

 なお、千賀については、こちらで書いた。

「千賀滉大の「奪三振率」はMLBで上がる!? フォークを決め球とした野茂英雄の場合…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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