Yahoo!ニュース

Jリーグのヒントに?Kリーグ開幕前“コロナ対応マニュアル”と韓国記者が語る日本人MF邦本宜裕の評価

金明昱スポーツライター
今季から邦本は全北現代でプレー。写真は2017年のU‐20日本代表時代(写真:アフロスポーツ)

 いよいよ今日(8日)の午後7時から、韓国プロサッカーのKリーグが開幕する。

 韓国は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きかった国の一つだが、PCR検査を徹底するなど防疫対策に力を入れ、現在一日の感染者数は一桁台に推移している。

 そんな状況下で5月5日、韓国プロ野球が一足先に開幕を迎え、次はプロサッカーがスタートするというわけだ。

 開幕カードは、昨季王者の全北現代モータースと昨季カップ戦を制した水原三星ブルーウィングス。

 試合会場は全北現代ホームの全州ワールドカップ競技場だ。この試合はKリーグの公式TwitterとYouTubeでライブ配信することも決まっている。

 9日と10日には、そのほかのKリーグ1(1部)とKリーグ2(2部)の試合が行われる。

 スポーツ紙「スポーツ東亜」によれば、韓国プロサッカー連盟はKリーグ1部の12チーム、2部の10チームの選手、コーチ陣などすべての人を対象にPCR検査を行い、“全員陰性”を確認。約1100人もの検査費用はすべて連盟が負担したという。

 またKリーグでは、新型コロナウイルスに関する「対応マニュアル」を公開。主な内容はこうだ。

●選手、コーチ陣、監督官など試合前に3回(試合前日、当日の午前10時、スタジアム入場時)にかけて、発熱検査を受ける。

●スタジアムではマスクを着用(選手のトレーニング及び試合出場時は例外)しなければならない。

●握手など身体の接触や近距離での会話、試合中に過度に唾をはいたり、鼻をかんだりする行為、ペットボトルやタオルなどの共同での使用をすべて禁止する。

 また、当面は無観客での開催が決まっていることから、「ガイドライン」も制定した。

 すべての入場口とチケット売り場などには、無観客で試合を行うお知らせを掲示。スタジアム周辺にも警備スタッフを配置し、場外での団体応援も防止する。

 また、選手の中で有症者が発生した場合、すぐに隔離し、診断検査を受ける。

 陽性となった場合、患者とその接触者は、最低2週間は隔離され、接触者に該当するチームの試合は、最低2週間以上は延期される。

 すべての不安が取り除かれたわけではないが、徹底した防疫対策を講じてリーグを開幕させる。

 無期限延期中のJリーグの参考になる部分も少しはあるかもしれない。

「邦本の実力はすでに証明されている」

 開幕戦には全北現代のMF邦本宜裕も出場する予定だ。浦和レッズの下部組織出身で、2017年までJリーグではアビスパ福岡でプレー。

 2018年からKリーグの慶南FCに所属し、主力として活躍。2019年4月のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグでは、鹿島アントラーズ戦に出場し、決勝ゴールを決めたのは記憶に新しい。Kリーグ通算63試合、7ゴール、4アシストと実績は十分だ。

 スポーツ・芸能総合サイト「OSEN」サッカー担当のウ・チュンウォン記者は、邦本をこう評価している。

「邦本の実力はすでに慶南FCで証明されています。しかしながら、全北現代では新型コロナウイルスの影響で、練習試合をするのが難しく、冬のスペイン・マルベーリャでの合宿では、ジョゼ・モライス監督からうまく起用されませんでした。サイドに配置されることもあり、(元Jリーガーの)MFキム・ボギョンとの兼ね合いの難しさもあったように思います。しかしながら、トップ下やディフェンシブハーフで起用されると、明らかに自分の能力を発揮していました。今季加入した元南アフリカ代表FWラルス・フェルトワイクとも仲良く過ごしていて、うまくチームに溶け込んでいます。問題はどのポジションでプレーするのかです。つま先のケガも完治し、水原三星戦には出場する可能性は高いです」

 邦本は韓国ではすでにその実力を認められており、ACLを制覇したこともある韓国トップクラブの全北現代で、あとは結果を残すのみだ。

 まだ22歳と若く、韓国で結果を残せば、いずれは日本代表という道もあり得るだろうか。そういう意味でも開幕戦の入り方は、とても重要になる。

 無観客の中、Kリーグはどのような形で開幕を迎え、全北と水原はどのような試合展開を見せてくれるのか。

 全体的なスタジアムの雰囲気と久しぶりに見る真剣勝負のフットボールを楽しみたい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

金明昱の最近の記事