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今朝の北朝鮮のミサイルを大胆予想 SLBMを地上型に改良した中距離弾道ミサイル「北極星2号」!?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
SLBMを地上発射型に改良した「北極星2号」(朝鮮中央TVから)

 今月21日の本欄(「北京五輪終了で北朝鮮がミサイル発射を再開か 『Xデー』は?」)で、北朝鮮のミサイル発射が待機状態にあるならば「今月27日はハノイでの米朝首脳会談決裂3周年にあたることからそのあたりが『Xデー』になるかもしれない」と予想していたが、案の定、今朝北朝鮮は弾道ミサイル発射を再開した。

 過去にソチ冬季五輪(2014年2月7日ー23日)の時は終了から4日後の2月27日に短距離ミサイルを発射していることや2016年のリオ夏季五輪(8月5日―21日)の時も終了から3日後に潜水艦弾道ミサイルを発射していたことなどから北京五輪が終われば、ミサイル発射を確実に再開するとみていた。

 岸防衛相は「ロシアのウクライナ侵攻の間隙を縫ったものであるならば断じて容認できない」とコメントしていたが、北朝鮮はウクライナ事態とは関係なく、前々からこの日に定めていたのであろう。

 防衛省の発表では、午前7時51分に発射されたミサイルは弾道ミサイルで、発射地点は西岸付近。最高高度は約600km、飛翔距離は300km程度と推定しているが、韓国合同参謀本部でも発射時間は7時52分で、発射地点は西部の平壌市順安。高度は約620km、飛翔距離は300kmと日本の推定とほぼ変わらない。

 北朝鮮は2019年2月27日にハノイで開かれた米朝首脳会談が決裂すると、2か月後の4月17日からミサイルの発射を再開し、この年は13回、翌年の2020年には5回、そして昨年は8回、今年もすでに7回発射しているが、最高高度が約600kmのミサイル試射は一度もなかった。

 その多くは高度30~50kmで、直近の1月30日に発射したミサイルのみが短距離ではなく、ロフテッド方式(高角度)で発射された中距離弾道ミサイル「火星12号」だったことから高度が約2000kmもあった。

 北朝鮮が保有しているミサイルで過去に試射され、高度が600km程度あったのは潜水艦発射型弾道ミサイル「北極星1号」を地上型に改良した中距離弾道ミサイル「北極星2号」だけである。

 全長9~12mで2段式の「北極星2号」は固形燃料を使用し、キャタピラによる移動式発射台からコールドランチ技術(発射から10mの高さの所で固形燃料に点火)を用いて発射される。固形燃料が使われるので奇襲攻撃ができ、またキャタピラによる移動式発射台を使用するので山や丘からでも攻撃が可能となる。

 北朝鮮はこれまで「北極星2号」の試射を2度行っている。

 一度目は2017年2月12日で平安北道・亀城から発射されているが、高度550km、飛翔距離500km、マッハ9.5~10.0だった。通常飛行すれば、2500~3000kmの飛行は可能で、沖縄が射程内に入った。

 二度目は約3か月後の2017年5月21日で、今回の発射地点に近い平安南道・安州から発射されていた。この時も高度560km、飛翔距離は500kmあった。車輪型の移動式発射台ではなく、無限軌道型発射台から発射されたことから露出が阻止され、事前探知及び補足が困難となった。

 当時、金総書記は「北極星2号の最終実験が完全に成功した」として実戦配備を承認していた。

 北朝鮮が1月30日に2017年9月以来、実に4年5か月ぶりに実戦配備されている「火星12号」を持ち出し、正確性を検証するための試射を行ったように今回も同じ中距離弾道ミサイル「北極星2号」を引っ張り出し、同じような試射を行った可能性も考えられなくもない。

 どのような種類のミサイルであれ、試射に成功しているならば、北朝鮮が一両日中に写真を公表するものと思われるので注目したい。

(参考資料:幻に終わった「火星12」による「グアム包囲作戦計画」 は復活するか!

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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