大谷翔平の「リアル二刀流」は「オープナー」とセットで!?
今シーズン、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、投打の二刀流を再開する。投手復帰は5月中旬の予定だ。大谷が登板する試合で、ジョー・マッドン監督はDHを解除するかもしれない。そうすれば、北海道日本ハムファイターズ時代に前例があるとおり、マウンドに上がって投げるだけでなく、同じ試合で打席に入って打つこともできる。エンジェルスと北海道日本ハムがそれぞれ属するア・リーグとパ・リーグは、どちらもDHを採用している。
夢物語ではない。昨年12月のウィンター・ミーティング中、マッドンは記者たちの質問に答え「なぜそうしない? 年に50打席増える」「チャイナ・ドールのように扱うべきではない」と発言している。チャイナ・ドールというのは、中国人形=陶器製で壊れやすい、という意味だと思われる。
さらに、大谷の「リアル二刀流」を最大限に生かすために、ホーム・ゲームでは「オープナー」を併用してはどうだろうか。
DHを解除した試合で、大谷が1回表から6イニングを投げた場合、その後、野手として守備につかない限り、打席が回ってくる可能性があるのは1回裏から6回裏までの6イニングだ。一方、「オープナー」を採用し、その投手の1打席目に大谷を代打で起用すれば、投げるのは同じ6イニングでも、攻撃に参加するチャンスは7イニングに増える。例えば、1回裏に代打として出場し、2回表から7回表まで6イニングを投げると、すでに打席に立った1回裏の1イニングに加え、2回裏から7回裏までの6イニングも、打順が巡ってくれば打席に立つ。
大谷がいずれも6イニングを投げるとして、攻撃に参加できるイニングを比較すると、図のようになる。Aは先発登板、B~Dはオープナーとして投げた投手の1打席目に代打として起用された時。Dは、9回表を終えた時点でエンジェルスがリードされているか、同点の試合だ。そこでリードしていれば、試合はエンジェルスの勝利で終わり、9回裏は行われない。
これまで、マッドンは「オープナー」とは無縁だった。タンパベイ・レイズがこの起用法を始めたのは、マッドンが監督を退任してから数年後のことだ。レイズに続いて指揮を執ったシカゴ・カブスでも、マッドンが「オープナー」を採用することはなかった。ESPNのジェシー・ロジャースが2年前に発表した記事によると、マッドンは「ジョン・レスターに向かって、今日は2回から投げてくれとは言いたくない」と語ったという。
けれども、普通の「オープナー」ではなく「リアル二刀流+オープナー」なら……。検討、いや採用の余地はあるはずだ。