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マリナーズは来年39歳の一塁手に他球団を上回る金額の契約を申し出て、それを断られた!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
カルロス・サンタナ May 20, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 カルロス・サンタナは、来年4月に39歳となる。2024年は、ミネソタ・ツインズで150試合に出場し、打率.238と出塁率.328、23本塁打、OPS.749を記録した。ホームランの本数は、2023年とまったく同じだ。他の数値も、あまり違わなかった。一塁の守備では、ゴールドグラブを初めて受賞した。

 来シーズンは、ツインズと同じア・リーグ中地区のクリーブランド・ガーディアンズでプレーするようだ。ESPNのジェフ・パッサンらが、1年1200万ドルの契約で合意、と報じている。このニュースが出る直前に、ガーディアンズは、一塁手のジョシュ・ネイラーをアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ放出した(「一塁手の「移籍ドミノ」が起きる。2日間に4人の一塁手が新天地へ。彼らの通算本塁打は計917本」)。

 サンタナを迎え入れようとしていたのは、ガーディアンズだけではなかったらしい。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールによると、シアトル・マリナーズは、2026年の選手オプションがついた契約を申し出ていて、その総額はガーディアンズを上回っていたという。この報道のとおりだとすると、サンタナは、マリナーズを袖にしてガーディアンズを選んだ、ということになる。

 サンタナは、2010~17年と2019~20年にクリーブランド・インディアンズ(現ガーディアンズ)でプレーした。メジャーリーグ11年目を終えるまでの、11シーズン中10シーズンだ。メジャーデビュー前を含めると、在籍期間はさらに長くなる。2008年の夏に、ロサンゼルス・ドジャースからインディアンズへ移籍した。

 マリナーズにも2度在籍しているが、どちらも長くはない。1度目は、2018年12月のトレードでフィラデルフィア・フィリーズからマリナーズへ移り、その10日後の三角トレードでインディアンズへ移籍した。2度目は、2022年6月のトレードでカンザスシティ・ロイヤルズからマリナーズへ移り、オフにFAとなってピッツバーグ・パイレーツに入団した。マリナーズでは、79試合で打率.192と出塁率.293、15本塁打、OPS.693を記録している。

 もっとも、こうしたことが今回の選択に影響したのかどうかは、わからない。

 ネイラーのトレードがまとまらなければ、ガーディアンズがサンタナを手に入れようとすることはなく、サンタナは、マリナーズに入団していたかもしれない。

 サンタナを欲しがっていたということは、マリナーズは、大枚を費やして一塁手のピート・アロンゾを迎え入れるつもりはないと思われる。となると、選択肢として残っているFAの一塁手は、ジャスティン・ターナージョシュ・ベルアンソニー・リゾーユリ・グリエル……といったところだろうか。

 彼らのうち、ターナーは、この夏のトレードでトロント・ブルージェイズからマリナーズへ移り、48試合で打率.264と出塁率.363、5本塁打、OPS.766を記録した。移籍前を含めると、139試合で打率.259と出塁率.354、11本塁打、OPS.737だ。ホームランはサンタナの半数以下だが、出塁率はサンタナを凌いでいる。2023年は、サンタナと同じく、23本のホームランを打った。ただ、ターナーの年齢は、サンタナよりもさらに上だ。先月、40歳の誕生日を迎えた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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