「最近の若い人」を育てるには「X」と「Y」を使いこなせ!
新入社員たちをどう育成するか
もうすぐゴールデンウイーク。4月初旬に入社した新入社員たちは、新社会人となって1ヶ月を迎えようとしています。新しい部下をもった上司たちも、同じように新鮮な1ヶ月を過ごしたことでしょう。そしてあらためて「部下育成」の難しさに直面した方もいるはずです。
最近、私はセミナーや講演で「部下育成」を語る際、ダグラス・マグレガーのX理論、Y理論を用いて話すことが増えました。とてもウケがいいからです。
X理論というのは、人間はそもそも怠惰な生き物であるから、放っておくと仕事をしなくなる。だから厳しく指導したほうがいいというもの。「性悪説」的な考え方です。
反対に、人間はそもそも自らすすんで問題を解決しようとする生き物だから、自主性を尊重するような指導をしたほうがいい――。これがY理論です。
昔から、正しいのは「Xなのか?」それとも「Yなのか?」という議論が絶えずありました。しかし現実を知っている人なら迷うことはありません。
相手に合わせて変える、これが正解です。
自主性を重んじて指導したほうが期待どおりに行動し、成果を上げるなら「Y」。そうでないなら「X」。このようにシンプルに考えればいいだけなのです。
XとYを繰り返すだけ
昨今の潮流はダンゼン「Y理論」。売れているほとんどの書籍は「部下が仕事にやりがいを持てるように、何をやりたいのかに耳を傾け、自主的に行動できるよう指導するのがリーダーの役割」みたいなことを書いています。
もし、それで部下が気持ちよく働いてくれるなら、誰でもそうすることでしょう。しかし、そうならないことも多いのが現実です。したがって「Y」でダメなら「X」を試す。「X」で指導すれば、相手の行動は変化します。なぜなら「X」は強制ですからね。したがって「X」を繰り返します。
部下が行動して成果を出すようになったら賞賛し、「Y」へと切り替えていきましょう。しかし「Y」を繰り返していたら、以前できていた基本的なことを忘れてしまうこともある。そういう場合は、また「X」でいきます。
つまり「Y → X → X → X → Y → Y → Y → X → Y → Y……」と部下の「状態」に合わせて変化させればいいのです。
「Y → Y → Y → Y → Y → Y → Y → Y → Y → Y……」このように、すべて「Y」でうまくいく部下はほとんどいないでしょう。だからといって、「X → X → X → X → X → X → X → X……」と続くのは、今のご時世ありえません。
大衆メディアはやたらと明確な対立構造を作りたがります。不潔なのか清潔なのか。黒なのか白なのか。企業がブラックのか、従業員がモンスターなのか……。このような二元論で考えるクセがあると、部下育成どころか「自分育成」も正しくできません。大事なことは、先入観で部下を決めつけたりせず、相手と正しく向き合うことです。