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前半と後半を比べると、鈴木誠也のOPSは190ポイント上昇、吉田正尚は211ポイント下降

宇根夏樹ベースボール・ライター
吉田正尚(ボストン・レッドソックス)Sep 14, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、鈴木誠也(シカゴ・カブス)は、打率.285と出塁率.357、20本塁打、OPS.842を記録した。吉田正尚(ボストン・レッドソックス)は、打率.289と出塁率.338、15本塁打、OPS.783だった。

 それぞれのスタッツを前半と後半に分けると、鈴木は、打率が.259と.313、出塁率が.342と.372、ホームランが7本と13本、OPSは.748と.938。吉田は、打率が.316と.254、出塁率が.382と.278、ホームランが10本と5本、OPSは.874と.663となる。

 前半のOPSに対し、鈴木の後半のOPSは211ポイント上昇し、吉田は190ポイント下降した(.001=1ポイントとして表記)。

 吉田の場合、打率よりも四球率の低下が目につく。前半の8.1%に対し、後半は2.9%。後者は、200打席以上の175人中、3番目に低かった。鈴木の四球率は11.1%→9.1%と少し下がっているものの、ISOは.147→.254と大幅に上がった。

 今シーズン、前半も後半も200打席以上を記録した選手は、143人いた。規定打席に達していても、ここには含んでいない選手もいる。例えば、ボー・ビシェット(トロント・ブルージェイズ)がそう。601打席の内訳は、前半の402打席と後半の199打席だ。

 143人中18人は、後半のOPSが前半のOPSより150ポイント以上高かった。150ポイント以上低かったのは、11人だ。

筆者作成
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 基本的に、大きくアップした選手は前半のOPSが低め、大きくダウンした選手は前半のOPSが高めながら、151ポイント上昇のマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)は、前半戦のOPSも.900を超えていた。.926→1.077だ。ホームラン1本当たりの打数は、11.8→10.6と推移した。

 昨シーズンの新人王、フリオ・ロドリゲス(シアトル・マリナーズ)とマイケル・ハリス2世(ブレーブス)は、どちらも前半のOPSが.730に満たず、「2年目のジンクス」に嵌まったようにも見えたが、後半はOPS.870以上を記録した。ア・リーグの新人王投票で4位に位置したボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)も、彼らによく似ている。

 アップが最も大きかった選手とダウンが最も大きかった選手は、奇しくも、ともにボストン・レッドソックスのルーキーだ。トリスタン・カーサスのOPSは、.727→1.034。307ポイントも上昇した。新人王を受賞するかどうかはわからないが、カーサスはファイナリストなので、投票3位以内に入っている。あとの2人は、ガナー・ヘンダーソン(ボルティモア・オリオールズ)とタナー・バイビー(クリーブランド・ガーディアンズ)だ。

 ちなみに、WBCで吉田とともにプレーした、大谷翔平(現FA/前ロサンゼルス・エンジェルス)のOPSは、前半が1.050、後半は1.097。ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)は、.740と.832だった。

 吉田とヌートバーのシーズンOPSは、.783と.784。ほとんど変わらない。ホームランも、15本と14本だ。ただ、打率と出塁率は違い、吉田が.289と.338、ヌートバーは.261と.367を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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