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職場で同僚から「ナメられない」話し方・接し方

横山信弘経営コラムニスト
(写真:アフロ)

■「安心・安全の欲求」について

「どうして上司でもない人から、こんなに上から目線で、無理難題を押し付けられるんだろう?」

このように感じたことはありませんか。

たしかに、親でも上司でも先生でもない人から、上から目線で話をされたり、軽く扱われたりすると、とても嫌な気持ちになりますよね。相手の話は聞いているのに、こちらの話は聞いてくれなかったり、相手の要望は叶えようとするのに、こちらの期待には応えくれなかったり。このような態度で接せられると、相手にナメられているな、と感じます。

人間は常に「安心・安全の欲求」を満たそうとします。たとえば職場の同僚とかから、ナメられた態度をとられると、「安心・安全の欲求」が侵(おか)されます。だからイヤな気持ちになるのです。

いっぽう、自分に対してナメた態度をとる人は逆です。普通に話をしていても、こちら側の話を無視していても、「安心・安全の欲求」が満たされています。常に居心地の悪さを感じません。したがって、相手にワガママを言っても、無理なことを頼んでも平気なのです。

「どうして私はあなたの要望にこたえようとしているのに、あなたは私の願いを聞いてくれないの?」

と問い掛けても、

「別にいいでしょ。私の勝手じゃないの」

という反応をします。それを言葉で表現するかどうかは別にして、こちらがどんな反応をしようが、相手は平然としています。「安心・安全の欲求」が満たされてしまっているからです。これでは「ナメられた」状態からの脱却はできません。

■ キーワードは「無関心」「無表情」「無反応」

相手にナメられないようにするには、相手の「安心・安全の欲求」を満たそうとしないことです。具体的には、相手の期待にこたえないようにするのです。とはいえ、相手の要望・期待をまるまる応じない、というわけにはいかないでしょうから、普段の話し方でそれを実践してみます。

たとえば相手の期待にこたえるような話し方は、感度を高め、正しいレスポンスをすることです。相手が笑ってほしいときに、こちらが笑う。関心を寄せてほしいときに、こちらも関心をよせる。相槌を打ち、表情を豊かにして期待にこたえるような反応を示すのです。もしもナメられたくないのなら、この逆をやればいいのです。

● 無関心を装う

● 無表情で聞く

● 無反応な態度で接する

要するに「無関心」「無表情」「無反応」です。当然のことながら、いつも「無関心」「無表情」「無反応」でいるのはよくありません。ナメられたくないときにだけ、実践することです。

そして「安心・安全の欲求」が満たされず、相手が居心地の悪さを感じ始めたと思ったら、「5W1H」を使い、こちらのペースで質問をしていきます。相手のペースがかなり乱れることは間違いありません。

同僚:「知ってる? 東京タピオカランドって、できたの。原宿に」

私:「へえ、そうなんだ(関心ある表情)」

同僚:「タピオカのテーマパークなんだって。行きたくない?」

私:「ちょっと行ってみたいかも(笑顔)」

同僚:「有名店のタピオカが飲めるって話だから、いいよね」

私:「そうだね」

同僚:「ところでさ。明日の夜、彼氏とデートする約束があるから、部長から言われている作業、代わってくれないかな。よろしく」

私:「……(無表情)」

同僚:「お願いね」

私:「……(無反応)」

同僚:「聞いてる?」

私:「え?(無関心)」

同僚:「だから、明日の夜、部長から頼まれてる作業があるんだけど。あれ、どうしても代わってほしいの。いいでしょ」

私:「……(無表情)」

同僚:「……」

私:「……(無表情)」

同僚:「ねえ」

私:「いつの話?(無表情)」

同僚:「だ、だから明日の夜」

私:「何時から?(無表情)」

同僚:「ええと、夕方の6時から、いや、7時からだったかな……」

私:「何が?(無表情)」

同僚:「え……。何が、って」

私:「だから、何が?(無表情)」

同僚:「何が、って……。部長から頼まれた作業」

私:「いつ、部長から頼まれたの?(無表情)」

同僚:「え、いつって……。いつだったっけな……」

私:「……」

■ 調子を狂わせる技術

最初は相手に調子を合わせていても、同僚から頼みごとを押し付けようとした瞬間から態度を急変させます。このギャップに相手は居心地の悪さを覚えることでしょう。これまでは無理難題を押し付けてもやってくれた相手だから、調子に乗って今回も押し付けてやれと考えていた同僚は、文字通り――調子が狂います。

結局、同僚の強引な頼みごとを引き受けることになるかもしれません。しかし、このような態度を繰り返せば、さすがにこの同僚は無理強いをしつづけることができなくなります。ナメた態度ができなくなる、ということです。

もちろん基本姿勢として、自分がやるべきことをキッチリやっていることが前提です。やるべきことを「やっていない」「やるのが遅い」「やり続けていない」のなら、人間的にナメられて当たり前です。それらができているのに、ナメられてしまう場合に使える、簡単な話し方・接し方を解説しました。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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