【糖尿病と認知症の関係】リスクは約2倍!その予防法は?介護福祉士がわかりやすくイラストで解説
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みなさん、こんにちは!認知症の支援サポーター『夢 はるか』です。
今日は、認知症と大きな関わりがある糖尿病についてご紹介します。
糖尿病とは、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が、慢性的に高くなる病気のことです。
血糖値が高い状態が続くと、以下のような症状が現れます。
・のどが乾き、水をよく飲む
・頻尿、多尿
・目が見えづらい、黒い点が見える
・倦怠感
・体重減少
血糖値が高い状態が続くと、網膜症・腎機能の悪化・神経障害など、さまざまな合併症を起こすといわれていますが、糖尿病と認知症の関係はどうなっているのでしょうか。
1 リスクは約2倍
国内外の調査研究により、糖尿病の人は認知症になりやすいことがわかっています。
たとえば、2011年に九州に住む人を対象にした研究では、糖尿病の人は血糖値が正常な人と比べて2.1倍、アルツハイマー型認知症になりやすいという結果が出ています。
さらに、認知症になったあとも、高血糖状態が長く続くと、認知症の進行が早まる危険があります。
2 低血糖にも注意
糖尿病治療の副作用で、重症の低血糖が起こると、認知症になる割合が1.7倍に増えるという研究があります。
さらに、認知症になると服薬や注射などの糖尿病治療をうまく続けることが難しくなるため、低血糖になるリスクが約1.6倍に上がります。
通常は、冷や汗、動悸、手の震えなどの体調の変化によって、低血糖の初期症状を感じることができます。
しかし、認知症の人はこれらの不調を感じたり、周囲に伝えることが難しいことも多く、早期発見と対応が遅れやすくなります。
低血糖が重症化すると意識が朦朧とし、昏睡状態になってしまうこともあります。
3 ゆるやかな血糖管理が大事
認知症になると、血糖の自己管理が難しくなるため、中年期(40〜64歳ごろ)の血糖コントロールが、認知症予防において重要とされています。
しかしながら、厳密に血糖値を管理しても、認知機能の低下を防ぐことはできないという研究結果もあります。
前項で述べたように、糖尿病治療の副作用として低血糖が起こり、低血糖によって認知症のリスクが高まるという恐れもあります。
これらのことから、厳密な血糖値のコントロールよりも、『ゆるやかな血糖管理』が推奨されています。
血糖コントロールについては自己判断せず、かかりつけ医へ相談し、家族との連携を行うことも大切です。
参考文献:『あたまとからだを元気にするMCIハンドブック』 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 2022年