2015年 "世界の" お天気総決算 今年起きた異常天候を振り返る
今年も残すところあと2週間。年の瀬迫るこの時期ですから、今年の天気を振り返ってみようと思います。日本の天気は気象協会さんが発表なさっている「2015年お天気総決算」をご覧いただくとして、私は世界のお天気でまとめてみました。
今年は、いわゆる「ゴジラ・エルニーニョ」の年ですし、地球の世界最高気温も観測史上最高になるとも言われているくらい異常な年でしたので、世界ではかつてない記録的な天候が続発しました。
その1 アメリカ北東部の豪雪
2月から3月のアメリカ。相次ぐ低気圧の通過と寒波によって、北東部では記録的な大雪が降りました。ボストンでは、一冬で280cmの雪が降り、史上最大降雪量を観測しました。交通機関は麻痺し、広範囲で停電が起こるなど大打撃を受けましたが、なんせ陽気なアメリカ人ですから、お堅い気象局すら、こんな発表をしています。
「おめでとう、ボストン!今季大雪記録達成!」
しかもこの大雪に便乗して、Boston Snow Yoという会社は、ボストンの雪をオンラインで販売しました。価格は500mlボトルいっぱいの雪で19ドル。ほぼ元手0ですから、大儲けしたでしょうね。当時、渇水が起きていたカリフォルニアでよく売れたようです。
その2 アタカマ砂漠の洪水
3月、世界で最も降水量が少ない場所の一つ、チリのアタカマ砂漠に突然の豪雨が降りました。7年分に相当する雨(23mm)が一夜にして降り、大洪水が発生。100人以上が死亡したと伝えられています。
しかし、この洪水によって思わぬ副産物も生まれました。12年ぶりに、砂漠の地をピンク色の花々が覆い、珍しい光景を一目見たいという観光客が押し寄せたのです。
その3 南アジアの熱波
5月、強烈な熱波がインドを襲い、2,500人が亡くなるという痛ましい出来事がありました。全世界で見ても、史上5番目に最も人的被害大きい熱波となりました。気温が48度の日が続き、道路のアスファルトが溶けたほどです。そしてその翌月の6月には、お隣の国パキスタンでも気温が49度に達し、暑さで2,000人以上が死亡しました。熱波の到来が、日中食事や水を取れないラマダンの時期と重なったために、死者が多くなったとも言われています。
その4 アジアの煙害
冬といえば、中国にとってはスモッグの季節。12月初旬には、北京で史上初となる、警報の最高レベル「赤色警報」が発令され、人々は室内での生活を余儀なくされました。
またインドネシアでは、10万件以上の山火事が発生。風下のシンガポールやマレーシアなどに深刻な煙害を発生させました。煙害の原因は、インドネシアの違法な焼畑によるもので、この時期毎年のように起きていますが、今年の大気汚染のレベルは訳が違いました。シンガポールは連日黄色い霧に包まれ、マーライオンの前でマスクをした観光客が写真をとる光景がよく見られました。
中国・インドネシアどちらの煙害も、エルニーニョにより雨が少なかったことが一因と言われています。これを受けて、アジアでマスクと空気清浄機の需要が高まっているのは言うまでもありません。
その5 太平洋の台風・ハリーケーン
海水温上昇により、太平洋では台風やハリケーンが続々と発生しました。
エルニーニョの影響を最も受ける太平洋東部では、史上最も早いうちから強大なハリケーンが発生。また、10月には、中心気圧880hPaで観測史上最強ハリケーン・パトリシアがメキシコに上陸しました。これほどの強さのハリケーンでありながら、一人も死者が出なかったことも、世界を驚愕させました。
また太平洋中部では、史上最多の15個の熱帯低気圧・ハリケーンが発生しました。しかし、数多くのハリケーンがハワイに接近して記録的な雨を降らせたものの、実は一つもハリケーンはハワイに上陸しませんでした。「ハワイは何か見えない力に守られているんだ」と地元の人は言っていました。
こうしてみてみると、2015年は改めて天災が多かった一年と言えます。来年はどんな年になるでしょうか。残り少ない2015年ですが、皆さま良い年末をお過ごしください。