トイレで気づく認知症の初期症状【介護福祉士が漫画でわかりやすく解説】
わたしたち介護職がお年寄りと接する中で、
「もしかして認知症?」
と気づくポイントに、トイレに行く様子の変化があります。
いつものように、漫画形式でわかりやすく紹介していきます。
こんな様子が頻繁に見られたら、認知症の初期症状かもしれません。
YouTubeでも漫画と介護福祉士による解説を配信しています。記事の感想や質問もこちらでお待ちしております。
1.頻回にトイレに行く
「今、トイレに行ったばかりなのに…」
ついさっきトイレに行ったことも忘れてしまう『物忘れ』が原因で、数分おきにトイレに行く人がいます。
昼夜を問わず頻繁にトイレへ行ったり来たりするようになると、同居家族も睡眠不足になってしまいストレスが溜まります。
対応策として…
膀胱トレーニングをする
少しでも尿意を感じたら、すぐにトイレに行くのではなく、膀胱に尿が十分にたまるまで、トイレに行くのを我慢できるようにトレーニングします。
はじめは5分、慣れてきたら10分、15分…と、尿意を感じてからトイレに行くまでの時間を、少しずつあけていきます。
『トイレのリハビリ』だと考えて、目標を立てて取り組んでみるとよいでしょう。
記録を書く
認知症の人には、頻回にトイレに行っているのに自覚がないケースがよくあります。
トイレから出た時に、時刻とどれぐらい出たか尿量をメモするとよいでしょう。
数分後にまたトイレに行きたくなっても、メモを見れば
「5分前に行ってるから、しばらくトイレに行かなくても大丈夫ね」
と安心感を得ることができます。
これらの方法は、わたしがデイサービスの介護職として実践し、実際に効果があったものです。
2. 汚れた下着を隠す
「タンスの奥に汚れた下着が入っていて、びっくりした」
認知症の人の家族には、よくある体験談です。
下着を汚したら洗えばいいと思いますが、認知症によって判断能力が衰えると、瞬間的に
「なかったことにしよう」
と思ってタンスの奥にしまい込み、下着を汚したことも、それを隠したことも、すっかり忘れてしまうようです。
対応策として…
さりげなく片付ける
「下着を汚してしまったけど、なかったことにしたい」
「家族には知られたくない」
自分がその立場になったら、やはりそんなふうに考えるかもしれません。
その気持ちに寄り添いましょう。
問い詰めたりせず、さりげなく片付けてしまうのも一つの方法です。
汚れものを入れるカゴを用意する
洗面所など分かりやすい場所に、汚れ物を入れるカゴを置いてみましょう。
『汚れもの』
『洗うものはここに入れる』
などの分かりやすい貼り紙をして、タンスへしまい込む前に、汚れ物を入れる適切な場所がわかるようにしておきます。
介護者感情のコントロール
さりげなく対応するといっても、汚れ物をあちこちにしまい込むことがたび重なると、
「えっ!また?」
と、抑えきれない怒りの感情が湧くこともあるでしょう。
しかし、怒りをぶつけることで、叱られた人は不安が膨らみ、さらに失敗につながる…という悪循環に陥りかねません。
わたしたち介護職も、毎日ストレスと向き合っています。
そんな日々の経験の中から、ストレスを処理する方法を身につけています。
介護者の怒りや悲しみのコントロールについては、またいつかご紹介できればと思います。