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右派ポピュリスト政党の差別投稿がネット炎上 ノルウェー選挙

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
Photo:Facebok from Christian T Gjedde

難民や移民の受け入れに懐疑的な与党・右派ポピュリスト政党「進歩党」。同党の国会議員のFacebook投稿がノルウェーで波紋を呼んだ。

ノルウェー政治を学ぼうとし、社会になじもうとするヒジャブを被った女性たちを、「恐ろしい」と印象づける投稿をしたのだ。

クリスチャン・ティブリング・イェッデ国会議員は、1枚の写真を自身のページに投稿。

Photo:同氏のFacebookよりスクリーンショット
Photo:同氏のFacebookよりスクリーンショット

「オスロの遊歩道、労働党の選挙小屋で」という短い文章。添えられていた写真には、ヒジャブを被った女性たちの後ろ姿が映っていた。

たったこれだけの投稿。だが、コメント欄は「吐き気がする」、「助けてくれ」という発言で埋まる。女性たちに対する憎悪溢れる人々からの投稿で溢れた。

同議員は進歩党の中でも発言が特に問題視されており、SNSでの投稿後に謝罪をしたこともある。

進歩党議員たちのFacebookには、移民や難民の受け入れに否定的な人々が集まりやすい。そこには人種差別的な意見もあり、他政党からは「ネットトロルの温床」とも呼ばれている。

労働党は、移民などの受け入れに特に寛容的という印象が持たれている党だ。事実、移民からの支持率は高いとされる。

対立する進歩党は、「労働党への一票は、難民申請者・難民・移民の増加への一票」と、選挙直前にネガティブPRを展開していた。イスラム教徒には特に否定的だ。

国政選挙は11日で、進歩党が与党であり続けられるかが決まる運命の日となる。

問題は、このヒジャブを被った女性たちは、教育を受けることができなかった大人たちのためのクラスに通っており、ノルウェー政治を学ぶために、「各政党」を回っていたことだった。

現在は、選挙運動の期間で、政党は各地にスタンドを設置し、市民に政策を紹介している。

イェッデ国会議員の投稿にすぐさま反応をしたのが、労働党の議員たち。

首都オスロで子どもの成長・教育分野を指揮する市議会のダル議員(労働党)は、自身の Facebookで反論。

「オスロでの大人の教育クラスは高レベルな社会統合を実現しています。参加者の多くは女性で、積極的に学ぼうとしています。なぜなら、彼女たちは仕事をして、家族を養い、社会に貢献しようとしているからです」。

「恐怖を拡散することを目的として、彼女たちが利用されることは理解できません。このような言動がノルウェーの現政権側から発信されているのです。明日からの投票が、どれだけ大きな意味を持っているかを示しています」。

イスラム教徒女性への不信感をあおろうとするイェッデ国会議員の投稿を、一部の他政党や市民もFacebookやTwitterで強く批判。

「移民はノルウェーの価値を学び、尊重するべきだ」という進歩党。同時に、ノルウェー政治やノルウェー語を学ぼうとする女性たちを攻撃する姿勢に、嫌悪感を覚えた人もいたようだった。

ネットでは、同議員の投稿に対して「これが人種差別でなければ、何が人種差別なのだろう」という意見もあった。

投稿から数時間後、ネットで炎上した様子をみてか、イェッデ国会議員はFacebookの投稿を削除。現地メディアからの問い合わせに答えることを拒否している。

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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