働く企業の規模の大小が「結婚できるかどうか」を大きく左右する「企業規模別未婚率」
企業規模別未婚率
大企業か、中小企業かで生涯に稼げる生涯賃金は大きく変わってくる。
ユースフル労働統計 2022によれば、同じ大卒男性であっても、10~99 人の小規模企業での生涯賃金(退職金含む・60 歳で定年後61歳以降も働く場合)は 2 億 6 千万円であるのに対し、1,000 人以上の大企業では、3 億 7 千万円と、1億円以上のも差がつく。
同様に、大企業か中小企業か、勤める会社の規模の大小によって未婚率も変わる。
2022年の就業構造基本調査に基づき、就業企業の規模別の35-44歳(いわゆるアラフォー年代)のそれぞれの未婚率を計算したものが以下のグラフである。
まず、男性を見ると、おもしろいことにもっとも未婚率が高いのは、企業規模30-49人の小企業で40%、規模がそれより小さい場合、大きい場合で未婚率は下がっている。全体平均の未婚率を下回るのは、2-4人のごく小さな規模と1000人以上の大企業と異常に未婚率の低い官公庁だけである。つまり、男性の場合、ざっくり大企業と官公庁以外は平均より未婚率は高いということになる。
一方、女性の場合は様相が変わり、規模が小さいほど未婚率は低い。30人を超える規模以上になると平均より未婚率は高まり、300-499人という割と中規模の企業がもっとも未婚率が高い。そして、1000人以上の大企業に限れば、男の未婚率28%よりも女の未婚率31%と高く、官公庁は男16%に対し女22%と、双方とも絶対値で女が男を上回る。
要するに、男性の未婚率が低いところは女性の未婚率が高いということだ。
男性は大企業が結婚しやすい
大企業において、男の未婚率が低いのは当然だろう。
大企業であるがゆえに、職場における出会いの機会も多いだろうし、何より職場でなかったとしても、大企業であるがゆえの収入の高さが大きく物を言うのだろう。
実にわかりやすい話だ。四の五の言ったところで所詮、男性が結婚相手として選ばれる条件の最優先は経済力なのである。とはいえ、逆に考えれば、1000人以上の大企業以外はすべて未婚率が平均以上ということは、もはや「大企業に勤めない男は結婚できない」ということになっていくのかもしれない。
ちなみに、男性35-44歳において1000人以上の大企業に勤める比率は3割である。
一方、女性の場合、大企業は絶対値として未婚率が男を上回るが、大企業だけではなく中企業全般でも女性平均値より未婚率は高い傾向にある。
これは「中規模以上の企業に就職した女性は未婚のままになりやすい」というよりも、中規模以上の企業に勤めて結婚した女性のうち結婚や出産を機に退職する場合もあり、未婚率計算の母数が減るために未婚率が高くなっているとも考えられる。逆にいえば、規模30人未満の小さな会社の場合は、一人当たりが担当する業務量も多く、結婚や出産では容易に退職もままならないがゆえの低未婚率であるとも考えられる。
女性の場合、配偶関係の変化による就業状態の変化が男性より多いので、男女の違いをこれだけですべてを類推することはできないが、少なくとも男性に関しては、企業の規模の大小=収入の違いが未婚率を左右するとは言える。
ちなみに、官公庁の未婚率が男女ともに低く、女性の方が男性より高い件については、以前過去記事で書いたで、そちらを参照していただきたい。
また、男女とも1人の場合だけは未婚率が高いが、1人は企業というより一人親方や個人事業主という形なので別に考えた方がいいだろう。
年収よりも重要な年齢問題
なお、なぜ生涯未婚率対象の45-54歳の未婚率ではなく、35-44歳というアラフォーの未婚率で見るかというと、実際問題、年収とは関係なく年齢によって、結婚の限界点が存在するからであ。女性だけではなく、男性にも。それは、生涯未婚率対象年齢の50歳以前に決定づけられている。
もちろん、44歳以上で初婚する人がゼロとはいわないが、こと恋愛結婚に限っていえば、男性は40.0歳、女性は37.6歳が結婚の限界年齢である。統計上はこの年齢を未婚のまま過ぎれば初婚する可能性は極めて低い。
そして、その年齢までに結婚するためには、それに至る交際期間も考慮すると、男は36.9歳、女は34.6歳までに初婚相手と出会っていなければならない計算になる。つまり、男性の場合「40歳過ぎて本気出す」は完全に手遅れなのである。
大企業でまあまあの年収があるから「いつでも結婚できる」などと余裕をこいていると、年齢によって「結婚できない」が確定する場合がある。
当然、例外はあるし、恋愛結婚ではなく見合い結婚であればまだ可能性は残されているが、参考までに。
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