ソトの「ブロックバスター・トレード」と似ているのは、15年前のあのトレード。その時に移籍した8人は…
8月2日、サンディエゴ・パドレスは、ワシントン・ナショナルズからホアン・ソトとジョシュ・ベルを獲得し、彼らと交換に6人を放出した。パドレスからナショナルズへ移ったのは、ルーク・ボイト、マッケンジー・ゴア、C.J.エイブラムスに、マイナーリーガーの3人、ロバート・ハッセル、ジェームズ・ウッド、ジャーリン・スサーナだ。
今から15年前、ミゲル・カブレラは、ドントレル・ウィリスとともにフロリダ・マーリンズからデトロイト・タイガースへ移った。2007年12月4日のことだ。マーリンズは、2人の見返りとして、6人を手に入れた。
この2件のトレードが似ているのは、2対6の人数だけではない。当時のカブレラは24歳。メジャーリーグ5年目を終えたところだった。現在のソトは23歳。今シーズンはメジャーリーグ5年目だ。どちらも、若きスラッガーとして、移籍前に実績を残していた。
移籍時点の通算成績は、カブレラが打率.313と出塁率.388、138本塁打、OPS.929。ソトは打率.291と出塁率.427、119本塁打、0PS.966だ。なお、ホームランはソトのほうが少ないが、これは、2020年の短縮分と今シーズンの残りによって生じた、出場試合の差だ。1本塁打当たりの打数は、カブレラが19.5、ソトは16.4なので、ペースはソトが上回る。
つけ加えると、カブレラとソトは、早々とワールドシリーズ優勝を経験したことも共通する。カブレラはメジャーリーグ1年目の2003年、ソトはメジャーリーグ2年目の2019年だ。
現在もタイガースでプレーしているカブレラは、移籍後も打ち続け、殿堂に達するキャリアを築いた。カブレラの他に、3000安打、600二塁打、500本塁打をいずれも達成した選手は、ハンク・アーロンとアルバート・プーホルス(セントルイス・カーディナルス)しかいない。タイトルは、2012年の三冠王を含め、首位打者が4度、本塁打王と打点王は2度ずつ。いずれも、タイガースで獲得した。2012~13年は、2年続けてMVPに選ばれた。
一方、カブレラとともに移籍したウィリスは、マーリンズ時代がピークとなった。2003年の新人王――カブレラは5位タイだった――に続き、2005年はリーグ3位の防御率2.63を記録し、サイ・ヤング賞の投票で2位にランクインしたが、移籍後は4シーズンの計199.0イニングで防御率6.15に終わった。実績よりも、トリッキーかつダイナミックな投球フォームと「Dトレイン」のニックネームが印象に残っている。通算9本塁打のうち、8本はマーリンズ時代に打った。
カブレラとウィリスの交換要員として、マーリンズへ移った6人のうち、移籍当時の評価が高かった2人、キャメロン・メイビンとアンドルー・ミラーは、昨シーズンまでプレーした。メイビンはオールスター・ゲームに選ばれていないが、ミラーは2016~17年に選出。制球難により、先発投手としては成功できなかったものの、2010年代の中盤は、球界最高のリリーフ投手の一人として、マウンドに君臨した。
ミラーとメイビンに次いで実績を残したのは、バーク・ベイデンホップだ。2008年にメジャーデビューし、翌年から2015年まで、7年続けて救援60イニング以上を記録した。
マイク・ラベロとフランキー・デラクルーズは、トレード後のメジャーリーグ出場が、どちらも35試合に届かなかった。デラクルーズは、日本、台湾、メキシコでも投げた。日本では、2010年に東京ヤクルト・スワローズで9登板。登録名は、エウロ・デラクルスだった。ダラス・トラハーンは、メジャーデビューできなかった。
なお、カブレラは、2008年3月と2014年3月に、それぞれ、8年1億5230万ドル(2008~15年)と8年2億4800万ドル(2016~23年)の延長契約をタイガースと交わした。カブレラを擁したタイガースは、2011~14年に地区4連覇を果たし、2012年はワールドシリーズまで進んだ。カブレラを放出後、マーリンズのポストシーズン進出は、2020年の1度だ。