久保建英の「レジスタ化」とビジャレアルに必要な攻撃の3パターン。エメリに求められるシフトチェンジ。
ビジャレアルと久保建英が、ターニングポイントを迎えている。
それは「攻撃」と「守備」の問題だ。ウナイ・エメリ監督は今季、守備に重点を置いてきた。特に、バルセロナ戦(0-4)の大敗を受け、【4-3-3】にシステムチェンジしたのはポジティブな変化だった。
アンカーにビセンテ・イボーラを据えて、インサイドハーフにマヌ・トリゲロスとダニ・パレホを配置する形はチームに安定感をもたらした。
だが、ここにきてビジャレアルに新たな課題が突き付けられている。
今回はリーガエスパニョーラ第12節エルチェ戦にフォーカスしながら、その解決策を見つけ出していく。
■攻撃と守備のバランス
久保はエルチェ戦もスタメンから外れた。まずこの試合のビジャレアルの戦い方を振り返ってみよう。
ビジャレアルは【4-3-3】のシステムで臨んだ。これに対してエルチェは守備時【4-4-2】でブロックを形成。その前のヨーロッパリーグのシバススポル戦をなぞるようにビジャレアルに挑んできた。
ビジャレアルはELの試合と同じように攻めあぐねた。そして後半開始から久保建英が投入される。
サム・チュクウェゼに代えて久保、アレックス・バエナに代えてパコ・アルカセルがピッチに入った。
ビジャレアルは攻撃時【4-3-3】に、守備時【4-4-2】になる布陣を構えるようになった。
久保に求められたのは守備時に右サイドハーフ、攻撃時に右インサイドハーフあるいはトップ下の位置に入って攻撃に関与していくことだった。
ビジャレアルが攻撃力を上げるには3つのパターンが必要だった。
重要だったのはジェラール・モレノと久保の関係性だ。ジェラールは左利きであり右サイドに流れてくることが多い。彼が右に流れたら、久保は右のハーフスペースを取る必要がある。あるいはトップ下のポジションに陣取り、ボールを受けスルーパスを狙う、またはシュートを打つ。これが<パターン1>である。
<パターン2>ではジェラールが右サイドではなく中央にいるシチュエーションだ。彼がトップ下の位置に入る、もしくはパコ・アルカセルと2トップになるような場面である。例えばジェラールがトップ下の位置に入った際、久保には右サイドに開くことが要求される。右ウィングの位置で相手の守備陣を引っ張りながらボールを受けて突破を試みるようなプレーが欲しいのだ。
そして、<パターン3>だ。久保が右サイドに張り、ジェラールが中央にポジションを取る。右のハーフスペースに右サイドバックのマリオ・ガスパールが上がってくる。そこで攻撃に連動性が生まれる。
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