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継続的に減少…新聞、週刊誌や雑誌、書籍の支出金額の推移をさぐる(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
電車内の時間つぶしに雑誌や新聞を読んでいる人は(写真:アフロ)

インターネットという新しいメディアの登場で、紙媒体のビジネスは一様に厳しいとの話を聞く。紙媒体はどれほど買われているのか、世帯単位の実情の推移を、総務省統計局による家計調査の結果(年次分は2022年分が最新)から確認する。

次に示すのは総世帯(すべての世帯。単身世帯+二人以上世帯)の家計調査における書籍・他の印刷物(紙媒体全般)の詳細項目の、世帯購入頻度(※)と支出金額の動向。公開データが取得できる2002年分以降のものについて、時系列で再整理している。

↑ 書籍・他の印刷物への世帯購入頻度(総世帯、月あたり、種類別)
↑ 書籍・他の印刷物への世帯購入頻度(総世帯、月あたり、種類別)

↑ 書籍・他の印刷物への支出金額(総世帯、月あたり、種類別、円)
↑ 書籍・他の印刷物への支出金額(総世帯、月あたり、種類別、円)

新聞の世帯購入頻度は2002年の時点で100%を超えていた。自宅に投函してもらうタイプは「1か月分の契約」で1購入と計算するので、すべての世帯が定期購読しているのに加え、スタンドや駅売店で購入して家計にカウントした人も相当数いたことになる。それが2022年には62.3%。42.3%ポイントの下落。2012年以降下落傾向が一時的にストップし、2013年から2014年にかけては上昇の動きすら見られるが、これは2011年の震災で新聞の存在意義が見直されたことに加え、新学習指導要領において新聞が教材の選択肢の一つとして挙げられたことが要因として考えられる。しかしながらそれらの効用も、2015年以降は消え失せてしまったようだ。

書籍はやや減少具合がゆるやかだが、減っていることに違いはなかった。ところが2019年以降はおおよそ増加傾向に転じている。書籍に関するトレンドに変化が生じたのかもしれない。2020年以降に限れば、新型コロナウイルス流行で在宅時間が増えたことも影響しているのだろう。

雑誌は書籍と比べて減少幅が大きいのが分かる。今や総世帯の3/4強が「月に一冊も雑誌を買っていない」状態。当然支出金額も漸減状態。

今回のグラフからは、いわゆる「メディアのターニングポイント」とされる2005年前後(携帯電話、インターネットの世間一般への普及が始まった時期)より前、少なくとも今回データが取得できた2002年時点から、主要紙媒体の購入性向の減少が起きている事実、そして雑誌や書籍は多分に景気変動にも影響を受けやすい実態を知ることができる。大勢としては二人以上世帯の傾向と変わりがない。

また直近となる2022年分も含めたここ数年の動向を見ると、購入頻度の視点で雑誌と書籍とが競り合い、差が開いた2011年以降、その動きが継続して拡大しているのが分かる。書籍よりも雑誌を買う人が少なくなった初めての年は2008年、そして2011年以降は連続した形となる。タイミング的には震災がきっかけで、現状の低迷感に拍車がかかった雰囲気ではある。無論、震災が直接影響したか否かの証拠はなく、単にタイミングが一致した可能性も否定はできない。

雑誌の急速な低迷ぶりは、「すき間時間向けの媒体」「読み捨て感が強い」との観点でライバルとなる、モバイル端末、とりわけスマートフォンの普及が加速度的に進んでいるのも一因と考えられる。書籍は何度と無く読み返し、読み終えた後も手元に残しておく場合が多い。しかし雑誌は一度や二度の読み返しで終わり、書籍のように長期間保存する事例は少ない。いわゆる「読みっぱなし」の時間消費との観点ではより注力度の高い、そして総じて低コストなモバイル端末にその座を奪われた形である。

■関連記事:

【月あたりの週刊誌や雑誌、書籍の購入実情をさぐる(2021年1月分)】

【本屋の場所、大きさ別・雑誌やコミックの売上全体に占める割合(2015年)(最新)】

※世帯購入頻度

世帯購入頻度とは世帯単位での月あたりの購入頻度。例えば特定の世帯において該当期間中に誰かが2回雑誌を購入すれば、その世帯の期間中の世帯購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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