スマホATOK「買切版」がサポート終了、サブスク加速へ
ジャストシステムの日本語入力アプリ「ATOK」は、2021年10月31日をもってiOS/Android向け「買切版」のサポートが終了します。Androidではサブスクへの移行が進み、iOS向けはいったん途絶えるものの、含みを持たせた終わり方になっています。
ATOKには1回買えばずっと使える「買切版」と、毎月料金を払いながら使う「ATOK Passport」の2種類があります。このうち、サポートが終了するのはiOS用とAndroid用の買切版です。
ATOK Passportは2011年にそれまでの定額制サービスをリニューアルする形で開始。Windows用は2018年に買切版(パッケージ)が廃止され、Passportのみで新バージョンが提供されるようになりました。
10月31日にサポートが終了すると、何が起きるのでしょうか。ジャストシステムによれば11月以降はOSアップデートへの対応がなくなるものの、アプリを使い続けること自体は可能とのことです。
Android用のアプリはATOK Passportで提供されているため、買切版から移行すればサポートを受け続けることはできます。ただ、サポート終了が告知されたのは10月1日と、終了まで1ヶ月しかなかったことに不満の声も出ています。
一方、困るのがiOSユーザーです。ATOK PassportでiOS用アプリは提供されておらず、買切版からの移行先は現時点で存在しません。アプリのバージョンアップは1年前のiOS 14対応を最後に途絶えています。
この点についてジャストシステムに確認したところ、「iOS向けのATOKも開発を続けております。発表できるタイミングになりましたら、改めてお伝えいたします。今後の取り組みに是非ご注目ください」との回答を得られました。
実際のところ、iOSの日本語入力アプリはセキュリティの観点から制約が多く、ジャストシステムの開発者も相当苦しんできたようです。その結果、iOSアプリは評価も低く、ユーザーの期待に応えられない状態が続いていました。このあたりをクリアした新展開があるのか、MS-DOS時代からATOKを使ってきた筆者としても楽しみです。
2021年11月1日追記:
ジャストシステムがiOS対応の新バージョン「ATOK for iOS [Professional]」を発表。ATOK Passportのプレミアムプランに追加されました。
買い切りとサブスク、どちらがお得?
ソフトウェアの提供形態は買い切りのパッケージからサブスクに向かっています。パッケージは定期的に新機能を加えて売る必要があるのに対し、サブスクなら目先の売上に一喜一憂せず、製品の改善にフォーカスできます。これは回り回ってユーザーにもメリットがあると考えられます。
一方、費用の面では悩ましいところです。買い切りは分かりやすく、サブスクよりも稟議を通しやすいという会社もあるでしょう。スマホ用ATOKの価格は買切版が1720円、Passportは最も安いベーシックが月額330円で、6ヶ月以上使うなら買切版のほうが安くなる計算です。
PassportのベーシックプランにはWindows用やMac用のATOKも含まれており、最大10台のデバイスで利用できます。ATOKユーザーはパソコンでもスマホでもATOKを使いたい人が多いと思われるものの、スマホでしか使わない人のために、もっと機能を限定した安価なプランがあってもよいのでは、とも感じます。